発達心理学の汎心論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 11:45 UTC 版)
心理学、とりわけ発達心理学の分野では、上と似てはいるが、若干違った意味でアニミズムという言葉が使用される。子供はその成長段階のある時期(およそ2歳から7,8歳ぐらいの間)において、すべての対象を心を持つ存在と考える傾向、すなわち擬人化して捉える傾向があることが知られている。こうした傾向のことを心理学の世界ではアニミズムと呼ぶ。上述のタイラーのアニミズムにちなんで、1968年、スイスの心理学者 ジャン・ピアジェによって命名された。例えば子供が自分の持っているぬいぐるみが、喜んだり、痛がったりしている、と素朴に信じているのは、こうしたアニミズム的思考の典型である。このピアジェのアニミズムも汎心論的世界観のひとつとして扱われることがある。 実験発達心理学者はピアジェの視点を部分的に支持する研究を行った。1940年代にアルベール・ミショットは画面に映し出された二つのオブジェクトが、それがヒトや動物の形をしていなくても(それが四角や三角の記号でも、ドットであっても)、一方がもう一方の後を追うように動いているときには「追いかけている」と認識されることを明らかにした。1987年にはアラン・レスリーがこの認識が幼い子供でも起きることを発見した。レスリーらの研究によればわずか生後半年の乳児でも二つのオブジェクトが単に動いているだけなのか、「追いかけている」のかで異なる反応が起きる。これは、人には生まれつき、あるいは発達の非常に早い時期から、動く物には意図や意識があるのだと想定する能力があることを示しており、心の理論または素朴心理学とも呼ばれる。
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