発展・終焉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 23:25 UTC 版)
ガウスによる設計は、回照器として最良のものだったわけではなく、後に様々な改良が試みられた。ガウスが指揮したハノーファーの測量でも、後年地理学者・技師のベルトラムが改良した、より単純な回照器に置き換わっていった。 また他国では、英国陸地測量部(英語版)のアイルランド測量に従事したドラモンド(英語版)や、測地弧で知られるヴィルヘルム・シュトルーヴェが、ガウスの回照器の原理をとり入れた装置を自ら設計し、使用していた。アメリカ合衆国における測量では、合衆国沿岸測量部(英語版)用に製作された形式の回照器が登場し、望遠鏡の鏡筒上にとり付けられた鏡で、望遠鏡の光軸と平行に合わせた2つの環を通して太陽光を反射することで、観測点に信号を送った。また、シュタインハイルが考案した「小型回照器」は携帯性にたいへん優れ、調整を要する箇所も少ないため、好んで使用された。 回照器の利用に際しては、太陽の日周運動に合わせて鏡を操作する必要があり、助手(測夫)がその任にあたったが、測夫の技量に作業効率が左右されることもあり、その確保は測量における課題であった。そのため、測夫の熟練を要しない回照器も考えられた。鏡の動作にヘリオスタットを利用したものも登場したが、器械が複雑化し、険しい測量点に設置するには不向きだった。より単純な器具として、内側に銀メッキを施したガラス球や、適切な曲率で湾曲させた銀メッキの管を並べたものも登場し、一定の成果を挙げた。 回照器は、太陽を光源とするため、昼間の晴天時にしか使用できないのが欠点である。そこで、人工光源の光をレンズや凹面鏡で収束させて信号とする回光灯(回光器)も、主に夜間の観測用に使用された。光源としては、アセチレンランプ、後には電球が用いられた。 回照器は、モールス信号などを利用することで短い伝言を送る、通信機としての役割も果たしており、測量の開始、中断、終了などの合図も回照器で行っていた。通信機能に特化した回照器は、回光通信機(ヘリオグラフ)と呼ばれる。 20世紀に入って、航空測量が主流になってくると、回照器は使われなくなっていった。
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