生理学上の電解質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 10:30 UTC 版)
生理学上で重要になる電解質のイオンは、ナトリウムイオン (Na+)、カリウムイオン (K+)、カルシウムイオン (Ca2+)、マグネシウムイオン (Mg2+)、塩化物イオン (Cl−)、リン酸イオン (PO43−)、および炭酸水素イオン (HCO3−)などである。 これらのプラスやマイナスで表される電荷は、その物質が持つイオンの性質を表しており、電子配置の不均衡を示している。これは化学的な解離の結果生まれるものである。 すべての高等生物は細胞の内外において微妙で複雑な電解質の平衡が必要である。特に、電解質の浸透圧の勾配を維持することが重要である。このような勾配が、人体の給水、血中のpHを制御するのに影響しており、また、神経と筋肉の活動にとって不可欠である。 筋組織と神経線維は両方とも、人体で電気的な組織と考えられている。筋肉と神経線維は細胞外体液と細胞内体液の間の電解質の活動によって動作する。電解質は、プラズマ半透膜にあるイオンチャネルと呼ばれる専用のタンパク質構造を経由して、細胞膜を出入りする。例えば、筋肉の収縮は、カルシウム、ナトリウム、カリウムの存在に依存している。こうした主要な電解質が適正なレベルでないと、筋肉は弱くなったり、極端な筋肉の収縮が起こることがある。 電解質バランスは経口、または緊急時にあっては電解質を含む輸液によって維持される。また、ホルモンによって調整されている。一般的には腎臓から余剰分を放出する。ヒトにおいては、電解質の恒常性(ホメオスタシス)は、抗利尿ホルモン、アルドステロン、および副甲状腺ホルモンといったホルモンによって調整されている。 脱水(熱中症)や水の過剰摂取(水中毒)のような、極端な電解質の不均衡が起こった場合、心臓や神経に合併症が起こることがあり、速やかに改善されないと医学的緊急事態になる。
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