理論の基礎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/19 00:16 UTC 版)
通常の場の量子論は、時間と空間が区別されたミンコフスキー空間の上で扱われるが、ミンコフスキー空間の時間成分をウィック回転しユークリッド空間へ移ることで、時間と空間は区別なく扱えるようになる。この上で、連続的な時空を「格子」という形式に離散化して表現するのが格子上の場の理論である。物理量の計算は格子上で行われるが、最終的には連続極限(格子間隔をゼロにする極限)をとることで、本来の連続的な理論を得ることができる。 格子上の場の理論において、クォークなどのフェルミオンは格子上の格子点(サイト)に置かれる。一方、グルーオンなどの力を媒介するゲージ場は隣接するサイト同士を結ぶ線(リンク)上に張られる。ゲージ場は時空の方向を持つベクトル場として表され、リンク変数(link variable)と呼ばれる。 フェルミオンを単純に格子化する(すなわち、ディラック場の作用を最も単純な形式で離散化する)と、余分な自由度が現れるという不都合が生じる(フェルミオン・ダブリング)。この問題を回避するため、実際の計算では、何種類かの改良された作用が用途に応じて使い分けられている。
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