現代のスタッコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 23:23 UTC 版)
現代のスタッコは、外装用セメントプラスターである。砂、ポルトランドセメント、石灰、水を混ぜたものだが、さらに繊維や合成アクリルを加えて強さや柔軟性を高めることもある。現代のスタッコでは下塗りと上塗りの2度塗りで済み、3度塗りを必要とする伝統的な化粧しっくいよりも施工が早く、薄く仕上げられる。 他のセメントを原料とする建材と同様、スタッコは振動でひびが入ることを防ぐために補強が必要である。プラスチックまたは金属の網状のラスを構造のフレームに釘やネジで取り付け、それを埋めるようにスタッコを下塗りする。ラスを使っても細かいひびは防げないので、上塗りにアクリルを添加したスタッコを使うことで細かいひびを隠すことができる。アクリルスタッコは柔軟性があり、見た目もよく、湿気をあまり通さない。 木骨造や軽量鉄骨造の場合、構造を湿気から守るため透湿防水シート(アスファルト含浸紙や「ハウスラップ」などと呼ばれる建材)を使う。透湿防水シートは雨漏りを防ぐだけでなく、室内に湿気がこもらないようにする役目も持っている。 スタッコの重ね塗りの第1層を「下塗り (scratch coat)」と呼び、セメントと砂と水だけを使う。表面に凹凸をつけるためにブラシなどを使い、次の層を塗る際の引っかかりになるようにする。第1層は次の層を塗る前に乾かす(硬化させる)。 次の層を「中塗り (brown coat)」と呼ぶ。セメント、石灰、砂、水を使う。「こて」を使って表面を滑らかにする。施工後最低でも7日から10日乾かす。その間に収縮してひびが入るので、仕上げ塗りでそれに対処する。 非常に乾燥した季節の場合、スタッコをスプレーで吹き付け、通常よりも水分を多く含ませる。こうすることで硬化するまで湿気が保たれる。完全に硬化する前に水分が抜けてしまうと、完成したスタッコは通常よりさらに脆くなってしまう。 最後の外面になる層を「上塗り (finish coat)」と呼び、次の2種類がよく使われる。 色塗り (color coat) 色つきのスタッコを通常3mm程度の厚さに塗る。吹き付けで砂岩状の風合いを出したり、こてで様々な表情をつけたりする。スタッコに混ぜる砂の粒の大きさによって仕上がりが変わってくる。 アクリル仕上げ (acrylic finish) アクリルスタッコを使った上塗りで、1mmから4mmの厚さになる。耐久性に優れている。また、色も様々なものがある。 1960年代から1970年代にかけて、スタッコの壁にガラスのかけらや石などを埋め込む工法があったが、壁が非常に重くなり、しかも柔軟性が失われ、修理も難しいため、廃れた。
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