玉本奈々とは? わかりやすく解説

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玉本奈々

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 07:11 UTC 版)

玉本 奈々
(たまもと なな)
誕生 (1976-02-23) 1976年2月23日(49歳)
富山県
職業 美術家現代美術 著者評論
言語 日本語
国籍 日本
教育

修士
京都芸術大学2010年

学士
成安造形大学1998年
最終学歴

京都芸術大学

大学院芸術研究科修士課程修了
活動期間 2000年 -
ジャンル 美術
代表作 『Alphabetシリーズ』『Numberシリーズ』『シリーズLUNA』『樹』(2012年)『内と外』(2011年)2000年代顔シリーズ『心眼』(2003年)高橋龍太郎 (精神科医)コレクション/『千里眼』(2004年)『永眠』(2000年)他
主な受賞歴 Contemporary Art Paris奨励賞2000 (Fr)、Salon d'automne2002,03 (Fr)、Grand Concours Internationalフランス共和国名誉賞2003、新人賞2004、栄誉賞2005・2006 (Fr)、La Toile d’Or 2003, 05, 08 (Fr)、Young Creator Award松谷武判審査員賞2014 (Jp)、国際芸術コンペティションArt Olympia 準佳作2019 (Jp)、東久邇宮記念賞,文化褒賞 共に2019、平和賞2021
デビュー作 個展『コルセットの中で新しい生活が始まる予感』(2000年) 著書『マスクの旅路』(2009年)
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玉本 奈々(たまもと なな、1976年昭和51年)2月23日 - )は、富山県高岡市生まれ。小杉町(現在の射水市)に育つ。第一アトリエは大阪府日本の女性現代美術作家/著者キュレーターの資格も持つ。 繊維造形物によるレリーフ状絵画と立体、インスタレーション作品。布を縫い合わせ収縮、亀裂を起こした技法、また古木の樹皮か珊瑚のような質感のオブジェと化した布の塊、樹脂による凸状波紋など、豊穣な物質的マチエールや飛沫状の色彩表現が特徴。ヨーロッパでは彫刻絵画ともいわれる。その稀にみる、マチエールを際立たせる飛沫状の色彩表現やマチエールは、国内外で高い評価を得ている。また独特の世界観によるや執筆、ワークショップなどにも注目を浴びている。

2020年、絵画におけるポートレートとして、コラージュされたドローイングが発表され、新たなシリーズとして確立された。

2023年、年譜になるのではなく、自ら年譜を創るべくシリーズ化された《絵巻物》は、繋がる人々との人生の絵巻物として2024年に初公開され、玉本の生涯の仕事のひとつとなった。「空飛ぶ法王」160俳句/こおろ社発行 東京堂出版発売2008・夏石番矢東京大学博士過程中退大学院修了の俳人明治大学法学部教授)他。

経歴

生家は旧家本家で、父の昇、母の千惠子共に経営者。母は草月流師範でもあった。玉本家の長女であり、玉本は母方の姓、富山県の元3大地主の家系。

生まれつきの重度の弱視に加え股関節脱臼、免疫も弱かったが、12歳を境に奇跡的に視力が回復。補助視力により「見る」行為が可能となった玉本は、世の中に線が多い事実を知り、ひたすら線を描き続ける。経済学と美術を両立して学ぶ。油絵を主とし制作を進めるが、表現方法に限界を感じ、一度油絵の具という手段を捨て、人間の生死に纏うであろう布に興味を抱き始める。大学はファイバーアートを専攻。1998年に成安造形大学を卒業後、大阪の瀧定株式会社/現スタイレム瀧定大阪のデザイナーとして就職。病を機に退職後、本格的に美術家としての道を歩み始める。その年に、東京の日仏現代美術大賞展にて優秀賞を受賞。他同年にフランスの現代美術展において奨励賞、フランスの選抜作家展にて同じく奨励賞を授与される。2006年に大阪にアトリエを構える。2010年、京都芸術大学大学院修了。

フランスでの公募「Grand Concours International」において、2003年にはフランス共和国名誉賞、2004年にはフランス共和国新人賞、2005、2006年にはそのコンクールの最高峰であるフランス共和国栄誉賞を受賞、また、2002~2003年・2005年・2007~2008年の芸術に対する功績として「La Toile d’Or」賞が、3度に渡り授与されている。[1][2][3]2019年には東久邇宮記念賞、東久邇宮文化褒賞を受賞。世界遺産五箇山、菅沼合掌造り集落の国史跡指定50周年、ならびに世界遺産登録25周年の2020年に「概念 2020」が収蔵され、感謝状が授与された。2021年には東久邇宮平和賞を受賞。記念賞、文化褒賞ならびに平和賞3部門のトリプル賞受賞となった。同年、ヨーロッパで玉本の初期顔シリーズが再燃する。顔シリーズの最後に「自画像age34」2010がある。

川端康成氏没後50年の2022年に、茨木市立川端康成文学館企画「玉本奈々 在る-数秘」が開催され、AlphabetシリーズならびにNumberシリーズ計7点が収蔵された。親鸞聖人のご誕生850年、立教開宗800年の2023年には、世界遺産の龍谷山本願寺(西本願寺・京都)に「蓮」2015年作を、また富山県の照伝寺には、花まつりの節気である二十四節気シリーズ「清明」を奉納。

個展

  • 2002年に、初の美術館個展「玉本奈々の世界」が富山県民会館美術館にて開催された。その個展を皮切りに、巡回個展として東京のO美術館2002年、茨城県つくば美術館/つくば文化会館アルス内2003年、福井市美術館2004年[4]、愛知県の刈谷市美術館2006年、他で開催された。
  • 2004年に、個展「玉本奈々の世界 文化の息づきと共に」が富山県 国登録有形文化財豪農の館 内山邸ならびに薬種商の館 金岡邸にて同時開催された[5]
  • 2007年に、坂のまち美術館企画展「玉本奈々展」が開催された。
  • 2007年に、個展「玉本奈々の世界」が世界遺産の相倉合掌造り集落の高桑家ならびに山崎家の2つの家屋にて開催された。
  • 2011〜2012年の2ヶ月間に渡り、高岡市美術館にて、ジュニア☆アート☆ワールド「天までのぼれ!ねがいの龍」ワークショップが開催された。
  • 2015年に、白川郷・五箇山合掌造り集落世界文化遺産登録20周年記念事業として、個展「共鳴り」が開催され、作品「概念」が収蔵された[6]。関連イベントとして、ベルギー王立美術館公認解説者・森 耕治講演「マティス、豪奢、静けさ、快楽」玉本奈々さんへのオマージュが催された。
  • 尼信博物館にて尼崎信用金庫スポンサー、による個展「真相-深層」が開催された。
  • 2014年2月28日-3月12日、大阪の枚方市立サンプラザ生涯学習市民センターにて、平成25年度枚方市平和の日記念事業企画展「玉本奈々-向き合う時間」ならびに「増殖×集積」玉本奈々立体「捻転」とのコラボレーションが開催された。[7][8]
  • 2019年の枚方T-SITE(ツタヤ本店)、ニューイヤーイベントとして、玉本奈々新刊発売記念の原画展ならびにトーク、サイン会が開催された。[9]
  • 枚方市 市制施行70周年記念事業として、ひらかたまちかど空間アートフェスティバル 個展「仕合せ」が浄行寺にて開催された。併せて、ワークショップ「編むコム」紙で紙を編む。「編むコム」から何が見える?が催された。(旧京街道 枚方宿「東見附」から「西見附」) (大阪)
  • 2022年2月16日〜3月16日、川端康成氏没後50周年、茨木市立川端康成文学館 企画展として「玉本奈々 在る-数秘」が開催され、Numberシリーズが公開された。Numberシリーズ「5」「15」「25」「35」「45」「50」ならびにAlphabetシリーズ「Z」が収蔵された。
  • アート・スプラウトシリーズ・ビジュアルアーツ事業企画展として「画業25周年 玉本奈々 法王/LUNA」が枚方市総合文化芸術センターにおいて開催された。「らせん」2007ならびに「コーヒーカップ/遊具」2024が枚方市に収蔵された。
  • 2025年10月21日〜11月30日、御殿山生涯学習美術センター企画として「玉本奈々 きざはし」が開催。


コレクション・奉納

茨木市立川端康成文学館/大阪(川端康成没後50周年)

*世界遺産 五箇山 菅沼合掌造り集落/富山   (白川郷、 五箇山合掌造り集落世界文化遺産登録20周年・五箇山菅沼合掌造り集落の国史跡指定50周年)

枚方市

*公益社団法人 北部地区医師会北部地区医師会病院/沖縄

*学校法人 京都女子学園/京都

富山県立高岡商業高等学校/富山

*ママステーション/大阪

*天の川保育園/大阪

*坂の下保育園/富山

*高橋龍太郎コレクション/高橋龍太郎 (精神科医)

*玲コレクション

他 国外美術機関


奉納
*世界遺産 龍谷山本願寺/西本願寺・京都

「蓮」2015年 玉本奈々作

親鸞聖人ご誕生850年・立教開宗800年 2023年

*照伝寺/富山

二十四節気シリーズ「清明」2019年 玉本奈々作

親鸞聖人ご誕生850年・立教開宗800年 2023年


賞歴

『Contemporary Art Paris』奨励賞(PARIS・2000)

『日仏現代美術大賞』優秀賞(東京・2000)

『日本の心と現代アート』奨励賞(PARIS・2000)

『Salon d'automne/サロン・ドートンヌ』(PARIS・2002 2003)

『Grand Concours International』 フランス共和国名誉賞(2003) フランス共和国新人賞(2004) フランス共和国栄誉賞(2005 2006)(FRANCE)

『La Toile d'Or』(FRANCE・2003 2005 2008)

『Young Creator Award』松谷武判審査員賞(大阪・2014)

『国際芸術コンペティション アートオリンピア』準佳作(東京・2019)

東久邇宮記念賞』(2019)

東久邇宮文化褒章』(2019)

東久邇宮平和賞』(2021)

著書

・「集積ーあるふぁべっとのかたちたち」[10]海青社 2019 ISBN978-4-86099-347-4

・「マスクの旅路」(絵本賞受賞作) 2009 ISBN978-4-7818-0216-9

・「シロアリの事典」海青社(表紙カバー/マスクの旅路絵本・表紙原画)

・「ネイチャー・アンド・ソサエティ研究」第1~5巻 横山智海青社(表紙カバー/ら Drawing)

・「わたしが掴んだONE CHANCE 自分のインスピレーションを信じた20人の女たち」 Rashisa出版/共著・特別寄稿 2022

・「非二元的な性を生きる 性的マイノリティのカテゴリー運用史」武内今日子 著 明石書店 2025 (表紙カバー/Alphabetシリーズ「X Cross」)

・樹石句集『海のチ』玉本奈々×樹石連画 認識における美術史 岩渕祐一 鎌倉日記制作委員会 著 2025(連画11作掲載)ISBN978-4-9908146-6-3

テキスト

・「玉本奈々の作品について」 富山県立美術館学芸員/麻生恵子 2004

・「VOCA展2004/心眼に寄せて」 京都国立近代美術館長・国立美術館理事長/柳原正樹 2004

・「ナナのためのナナ(子守唄)」 和歌山県田辺市立美術館学芸員/三谷渉 2004

・「Coloriste inspirée - L'intense bonheur de peindre」 国立フランス文化連盟創立会長・美術評論家・近代美術専門家・文化ジャーナリスト/Dominique CHAPELLE 2004

・「玉本奈々-挑戦し続ける作家」 福井市美術館学芸員/石堂裕昭 2006

・「マントと相倉 玉本奈々さんの作品について」 富山県立美術館学芸員/麻生恵子 2007

・「玉本奈々 - 成るべくして成った人」 美術ライター/小吹隆文 2007

・「若き芸術家の情熱に触れて」 毎日新聞東京本社記者/山崎明子 2007

・「Nana Tamamoto "Life Force"」Art & Antiques (New York雑誌掲載) New York Times(ニューヨーク・タイムズ)・Journalist(ジャーナリスト)・Critic/Edward M. Gomez 2011

・「Nana Tamamoto Capturing the Life Force」 New York Times(ニューヨーク・タイムズ)・Journalist(ジャーナリスト)・Critic/Edward M. Gomez 2011

・「自分に忠実に生きる人」 美術ライター/小吹 隆文 2011

・「交差するまなざし-玉本奈々の作品に触れて」 富山県高岡市美術館学芸員/宝田陽子 2011

・「伝わる祈りの気持ち」 あさご芸術の森美術館長/伊藤照哉 2014

・「玉本奈々さんへ贈る言葉」 ベルギー王立美術館公認解説者・美術史家/森耕治 2015

・「作る - 原動へと唄えと」 和歌山県田辺市立美術館学芸員/三谷渉 2016

・「出版によせて」(集積 あるふぁべっとのかたちたち 玉本奈々著/海青社) 京都国立近代美術館長・国立美術館理事長/柳原正樹 2019

・「玉本奈々「心眼」について」 東京都現代美術館学芸員/鳥越麻由 2024

・「玉本奈々-絶対の美」 御殿山生涯学習美術センター学芸員/高橋佳也子 2025

寄稿

・「生きるために芸術がある」富山情報誌「今週の人」表紙 株式会社KCC 2002

・「芸術とは何か」第421(5月)号「ぶんか」表紙 2004

・わが青春は京都に「京都に寄り添われて」 月刊京都2月号 2020

・「出会い」四季報 第24巻第1号 Japan Personnel Development Association 2022

・「潜在と芸術」第505号表紙 さざなみ国語教室 滋賀県児童文化協会/NPO現代の教育問題研究所 2024

出典

  1. ^ 玉本奈々 (2009年8月1日). マスクの旅路. 株式会社文芸社ビジュアルアート. ISBN 978-4-7818-0216-9 
  2. ^ 玉本奈々”. 2019年2月23日閲覧。
  3. ^ 玉本奈々 アマゾン著者紹介”. 2019年3月20日閲覧。
  4. ^ 玉本奈々の世界 カウベルコーポレーション”. カウベルコーポレーション. 2016年4月21日閲覧。
  5. ^ 玉本奈々の世界 ポスター”. Le monde de TAMAMOTO Nana. 2023年2月14日閲覧。
  6. ^ ART iT「[https://www.art-it.asia/top/admin_expht/255209/ 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション A Personal View of Japanese Contemporary Art: Takahashi Ryutaro Collection 東京都現代美術館 東京]」『ART iT』2024年11月10日。
  7. ^ アーティストたちが語るコレクター高橋龍太郎。「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」(東京都現代美術館)を機に高橋氏との出会いやエピソードを聞く”. TOKYO ART BEAT. 2025年4月3日閲覧。
  8. ^ 画業25周年 玉本奈々 法王/LUNA 展 アート・スプラウト ビジュアルアーツ事業”. 枚方市. 2025年4月1日閲覧。
  9. ^ 現代美術作家 玉本奈々 Nana TAMAMOTOについて」『』2023年7月7日。
  10. ^ 玉本奈々『集積ーあるふぁべっとのかたちたち』海青社、2019年1月1日。 ISBN 978-4-86099-347-4https://www.kaiseisha-press.ne.jp/ISBN9784860993474.html 



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