獲得免疫の刺激
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:56 UTC 版)
ここ数十年の生物医学における最も興味深い進展の一つは、自然免疫を媒介するメカニズムの解明である。自然免疫機構の1つは、補体の活性化などの体液性免疫機構である。もう一つの自然免疫機構は、Toll様受容体のようなパターン認識受容体からなり、インターフェロンやその他のサイトカインの産生を誘導し、単球等の細胞の感染症に対する抵抗力を高める。自然免疫反応で産生されるサイトカインは、獲得免疫反応の活性化因子の一つである。抗体は自然免疫のメカニズムと相加的、相乗的に作用する。不安定なHbSは、赤血球の主要なタンパク質であるBand-3をクラスター化している。抗体はこのクラスターを認識し、食細胞による除去を促進する。抗体が付着したクラスター化したBand-3タンパク質は補体を活性化し、補体C3フラグメントは食細胞のCR1補体受容体が認識するオプソニンとなる。 ある集団研究では、鎌状赤血球形質のマラリアに対する防御効果は、マラリア原虫に対する自然免疫反応だけでなく、獲得免疫反応の増強を伴う事が示されており、自然免疫から獲得免疫への移行を示している。 マラリアに繰り返し感染すると、獲得免疫が強化され、異なる表面抗原を発現する寄生虫に対する効果が拡大する。就学前には、殆どの子供がマラリアに対する有効な獲得免疫を獲得している。これらの観察結果は、アフリカの殆どの子供たちが生存している一方で、一部の子供たちが致命的な感染症を発症しているメカニズムについて疑問を投げかけている。 マラリアでは、他の感染症と同様に、自然免疫反応が獲得免疫反応を引き起こし、刺激している。自然免疫と獲得免疫の遺伝子制御は、現在、大規模で盛んな学問分野となっている。 体液性および細胞媒介性の免疫反応は、マラリア原虫の増殖を抑制し、多くのサイトカインがマラリアの病因や感染症の解決に貢献している。
※この「獲得免疫の刺激」の解説は、「獲得免疫系」の解説の一部です。
「獲得免疫の刺激」を含む「獲得免疫系」の記事については、「獲得免疫系」の概要を参照ください。
- 獲得免疫の刺激のページへのリンク