熱回生とレギュレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 06:50 UTC 版)
「運動エネルギー回生システム」の記事における「熱回生とレギュレーション」の解説
レギュレーションでは排気熱エネルギーによる発電方法は指定されておらず、水を沸騰させ蒸気タービンを回すランキンサイクルや、熱電素子による直接変換(ゼーベック効果)といった方法も可能であるが、レギュレーションでは「ターボチャージャーのタービン/コンプレッサーと機械的に接続していること」が条件となるため、ターボの過給機構の間にMGU-Hを挟み込んで、排気熱エネルギーを受けて高速回転するタービンシャフトから発電する方法が現実的になる。 駆動力のアシストはMGU-Kからのみ行われる。KERSと同じくエンジンのクランクシャフトにギアを介して伝達する(可変レシオは禁止)。上限回転数は50,000rpm。最大トルクは200Nm。 MGU-Kの最大出力は120kW(=163馬力)と従来の2倍になる。ターボエンジンの600馬力に加えると761馬力となり、2013年までのV8エンジンと同等の出力を確保する。 MGU-KからESへの回生量は2MJ/周(KERSの2倍)まで、ESからMGU-Kへの放出量は4MJ/周(KERSの10倍)まで。4MJを最大120kWで使用すると、作動時間は1周あたり33.3秒間(KERSの5倍)となる。 MGU-Hの回生量は無制限。得られる電力は状況に応じて3つの用途へ振り分けられる。MGU-Kへの直接供給。ESからの4MJ/周とは別にして無制限に供給できるため、MGU-Kのパワーアシストが1周あたり33秒+αに伸びることになる。 MGU-Hがモーターとしてターボコンプレッサーを増速し、過給特性を改善する(ターボラグの解消)。 ESへ一時蓄電。 MGU-Hの上限回転数は125,000rpm。クラッチを付けてタービンシャフトから切断することも認められている。 ESを除いたパワーユニットの最低重量は145kg。ESの重量は20〜25kg。 MGU-KとESのやり取りには「回生量2MJ/放出量4MJ」と差が付けられているので、毎周フルチャージでアシストすることはできない。従って、MGU-Hの熱回生がもたらす無制限の補助電力がERSの作動時間(=ラップタイム短縮)に影響することになる。 またERS化に付随して、リアブレーキの電子制御(セミ・ブレーキ・バイ・ワイヤ)が解禁された。これは、MGU-Kの出力が倍増した副作用により、従来のようにドライバーが手動でブレーキバランスを調節する形ではブレーキング時の安定性・安全性が確保できないと見込まれたためである。
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