消費財の流通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:17 UTC 版)
東西対立の世界構造の中で、軍需産業に高い技術と莫大な資金を投じることで軍民転換が遅れ、冷蔵庫や洗濯機、乾電池や電子レンジなどの国民生活に必要な電化製品や、石鹸や洗剤、シャンプーやトイレットペーパー、鉛筆やボールペンなどの一般消費財、たばこや清涼飲料水などの嗜好品の開発と生産、物流の整備は疎かにされ、西側諸国に比べ技術、品質ともに比べ物にならない低レベルの電化製品でさえ、入手するために数年待たなければいけないというような惨憺たる状態であり、これはリチャード・ニクソンとの台所論争でもアメリカから槍玉にされた。 さらにほとんどの電化製品や自動車の技術は、西側諸国の技術より数十年遅れていたといわれているうえ、その多くがフィアット(トリヤッチを参照)やパッカードなどの西側の企業と提携し、旧型製品の技術供与を受けたもの、もしくは西側製品の無断コピーや、第二次世界大戦時にドイツ国内から接収、略奪したオペルの生産工場施設からの技術の流用であった。 電化製品や一般消費財、嗜好品や自動車は、市場における競争に勝ち残るために西側諸国では頻繁に行われていた新製品の開発や市場投入、改良や価格改定はほとんど行われず、なにも改良されないまま30年以上にわたり同じ製品が製造されていた。 自動車の個人所有は共産党幹部などの限られた階級の人間に限られ、それ以外の階級のものが手にするためには、電化製品同様数年待たなければいけない状態であった。まして労働者階級がジルやヴォルガなどの高級車や、レオニード・ブレジネフなどが愛用したシトロエンなどの西側諸国からの輸入車を所有することは事実上不可能であった。
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