消費貸借の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:33 UTC 版)
無償契約原則消費貸借契約は原則として無償契約である(無償消費貸借)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができないと明文化された(589条1項)。 特約による利息付消費貸借特約により貸主が利息を受け取る場合(利息付消費貸借)には有償契約となり(有償消費貸借)、現実に利用されるのは利息付消費貸借契約(有償消費貸借)がほとんどである。金銭消費貸借に伴う利息の利率については利息制限法、貸金業規制法、出資法、臨時金利調整法などの規制を受ける。 なお、商人間の消費貸借では常に有償契約となる(商法513条第1項)。 要物契約・諾成契約民法第587条による消費貸借民法第587条の消費貸借は使用貸借や消費寄託と同じく要物契約である(民法第587条の「物を受け取ることによって」の文言)。 消費貸借が要物契約であることはローマ法以来の沿革的な理由による。消費貸借が要物契約とされる現代的な意義として、諾成契約とすると目的物の交付を受け取っていない借主側に返還義務のみが生ずることになるという点を挙げる学説もあるが、このような場合には借主側に抗弁権を認めて返還請求を排除することで足りるとする批判もあった。 民法第587条の2による消費貸借(諾成的消費貸借、書面でする消費貸借)2017年改正前の民法でも、少なくとも有償消費貸借については諾成的消費貸借を認めてよいとされ、その場合には双務契約となるとされていた。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)は従来の要物契約の消費貸借(民法第587条)を存置しつつ、諾成契約である書面(または電磁的記録)でする消費貸借(民法第587条の2)を新設した。 片務契約・双務契約消費貸借は要物契約の場合は片務契約である。貸主は一定の担保責任(590条)を負うにすぎない。 諾成契約である書面でする消費貸借は双務契約となる(貸主は目的物を交付する(貸す)債務を負う)。諾成的消費貸借については通常の消費貸借と同様に貸主の貸す債務と借主の返済債務が同時履行の関係に立つわけではないため典型的な双務契約とは異質な側面を有するとされる。
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