消磁機能付きモニタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/16 08:36 UTC 版)
現在、消磁はブラウン管のテレビやモニタで最もよく使われる。例えば、多くのモニタはブラウン管面近くに金属板を置き、後部から発射される電子ビームを受ける。シャドーマスクと呼ばれるこの金属板は外部の強い磁場の影響を受けることで画面の変色を引き起こす。 この現象を最小化するために、ブラウン管は画面の周りに、消磁コイルと呼ばれる銅線のコイルを持つ。内部にコイルを持たないブラウン管も、外部の携帯用コイルを用いることで消磁できる。性能の良い消磁コイルは大きな場所を必要とするため、一般的なブラウン管に実装される消磁コイルは外部コイルよりもはるかに弱い。消磁は高速で発振し徐々に振幅が小さくなる磁場をブラウン管内に発生させ、シャドーマスクに帯磁したランダムな微少磁場を取り除く。これにより変色が取り除かれる。 多くのテレビやモニタは電源投入時、画像を表示させる前に自動的に消磁を行う。この時に流れる大きなサージ電流により、「ブーン」という音や大きなハムノイズが聞こえ、画像が小刻みに揺れて見える。消磁機能は操作メニューから選択することで実行することもできる。 ほとんどの民生用機器では、消磁のために流れるサージ電流はサーミスタで制御されていて、正の温度係数を持つ。すなわち最初は抵抗値が小さい(電流:大)が、消磁のための電流によってサーミスタの温度が上がると急激に抵抗値が大きくなる(電流:小)。このような機器は電源投入時に一回だけ低温から高温へと変化するように設計されているので、繰り返し電源を入れ直しても大きい電流は流れないため消磁の効果は薄くなり、故障にもつながるため推奨されていない。
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