海水リチウムの抽出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 15:52 UTC 版)
海水中には2300億トンのリチウムが溶けており、事実上無限の埋蔵量を有する。海水中のリチウム濃度は他の元素と比べて比較的高いため採算ラインのボーダー上にあり、効率的な回収方法が開発されれば経済的に実用可能になる可能性がある。2004年には海水リチウムを抽出するためのパイロットプラントが日本の佐賀大学海洋エネルギーセンターで稼働を開始し、150日間で192グラムの塩化リチウムが海水から回収された。このプラントは火力発電所などが取水した海水を二次利用することを想定し、ポンプで汲み上げた海水から吸着剤を用いてリチウムを回収する方式が採用されている。これは、100万キロワット級の規模の発電所を想定した場合、1基あたり年間700トンの塩化リチウムを回収できる計算になるが、吸着剤由来のマンガンの溶出や、回収コストが従来法の20倍かかるなど、実用化にはまだ課題が残っている。2014年には日本原子力研究開発機構が、濃淡電池の原理を利用し海水からのリチウムイオン抽出と発電を同時に行う技術を開発した。
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