派生の接辞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/03 09:42 UTC 版)
動詞の意味は、動詞語幹をほとんど無数の方法で変更することで変えることができる。動詞の派生のうち中心的なものはごく少数だが、動詞語幹への付加では事実上あらゆる組み合わせが可能であり、数百の派生が生み出される。 受動態は語末の -a を -wa または -ibwa/-ebwa と置き換えて作られる。 okulaba 「見る」 → okulabwa 「見られる」 再帰動詞は接頭辞 e- を動詞語幹に付け加えて作る(不定形の場合は接頭辞 oku- を okwe- に置き換える)。 okutta 「殺す」 → okwetta 「自殺する」 再帰形でしか使われない動詞も多い。 okwebaka 「眠る」 (*okubaka という形は使われない) okwetaga 「必要だ」(*okutaga という形は使われない) 語幹を重ねることで作られる畳語は一般に反復や強意を表す。 okukuba 「殴る」 → okukubaakuba 「乱打する」 充当態(英語版)(英: applicative voice)は動詞がもう一つの目的語を取り「してあげる」「何かによってする」という意味を表すのに使われる。接中辞 -ir- を語末の -a の前に挿入して作られる。 okukola 「働く」 → okukolera 「(雇用者のために)働く」 okwebaka 「眠る」 → okwebakira 「(家具などで)眠る」 充当態の接中辞を二度重ねると充当の意味を強める働きが生じ、通常単に充当の意味を加えるのではなくもとの意味から離れた別な意味を付与する。 okukola 「働く」 → okukozesa 「利用する、雇用する」 使役は動詞の末尾に様々な変更を加えることで作られる。通常は語末の -a を -ya, -sa, -za に置き換える変化が起こる。「させる」という意味になり、自動詞を他動詞に変える働きも持つ。 okulaba 「見る」 → okulabya 「見せる」(別な動詞 okuluga を使う方が一般的) okufuuka 「なる」 → okufuusa 「(何かを何かに)変える」 使役の派生を二度重ねることで「第二の使役」となる。 okulaba 「見る」 → okulabya 「見せる」 → okulabisa 「見させる」 状態動詞という派生形は英語の「動詞+able」に似ているが、形容詞ではなく動詞の働きを保つ。語幹末の -a の前に接中辞 -ik/-ek を挿入して作る。 okukola 「する」 → okukoleka 「できる」 okulya 「食べる」 → okuliika 「食べられる」 自動詞の反転は自動詞に逆の意味を持たせ動詞は自動詞のままで残すか、他動詞に逆の意味を持たせ自動詞に変更させる。英語の接頭辞 un- に似ている。語幹末の -a の前に接中辞 -uk- を挿入して作る。 okukyala 「訪問する」 → okukyaluka 「訪問を終える、離れる」 他動詞の反転は、他動詞であることに変化がない点を除けば自動詞の反転と同じである。すなわち、自動詞の意味を逆にして他動詞に変えるか、他動詞ならば意味を逆にして他動詞のままとなる。接中辞 -ul- で作る。 okukola 「する」 → okukolula 「取り消す」 okusimba 「植える」 → okusimbula 「根こそぎにする」 okukyala 「訪問する」 → okukyalula 「見送る」 反転の接中辞を重ねると反転の意味を強める働きをもたらす。 okulimba 「騙す」 → okulimbulula 「誤解を解く」 相互形の派生は接尾辞 -na か -gana で作られる(-ŋŋa も使われるが少数)。 okulaba 「見る」 → okulabagana 「互いを見る」 okutta 「殺す」 → okuttaŋŋana 「殺し合う」 進行形は接尾辞 -nga で作られる。定動詞とともに使われ、動作が継続していることを表す。 ndimukuuma 「私が彼の面倒を見る」 → ndimukuumanga 「私は彼の面倒を見続ける」 tosinda 「泣き言を言うな」 → tosindanga 「決して泣き言を言うな」 tobba 「盗むな」 → tobbanga 「汝盗むべからず」 これは派生ではなく接語 (clitic) であり、活用した動詞の後に付加される。
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