水質汚濁問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 04:57 UTC 版)
昭和30年代の後半頃から急激に水質汚濁が進み、湖水の栄養塩濃度が、一年の大部分で富栄養化レベルを遥かに超えるような状態となった。水質や周辺環境は悪化し、かつてはアオコが大量発生・腐敗し、水は濁って異臭を放ち、さらには死んだ魚が岸に打ち上げられている光景がしばしば見られた。 このような事態を重く受け止めた静岡県や浜松市は、佐鳴湖の水質改善のために調査や対策を行ってきた。県の事業ではヘドロ(屁泥)の底泥浚渫による除去を、市および県の事業としては上流域の下水道整備などの対策を行った。こうした対策は一定の成果はあったものの、佐鳴湖特有の性質(後述)も災いし、1999年(平成11年度)以降に年平均COD値(Mn法)が11mg/Lから12mg/Lとほぼ横ばいとなるなど、水質改善の決め手とはならなかった。 そして、環境省が発表した2001年度の全国の湖沼の水質調査結果(公共用水域水質測定結果)では、水の汚濁度を示すCOD(化学的酸素要求量)の年平均値が、2000年度まで全国ワースト1位であった手賀沼(千葉県)を抜き、全国ワースト1位となった。東海地方では、油ヶ淵(愛知県碧南市・安城市)と並んで汚い湖沼とされた。 しかし、その後も流域の下水道普及事業とともに、直接浄化施設の建設や湖岸におけるヨシの植栽など新たな水質改善対策(ただし、下水道整備以外の事業のCOD改善効果は不明)を継続的に取り入れていった結果、水質は改善し2007年度の年平均COD値は9.3mg/Lとなり、全国ワースト1位から抜け出すこととなった。さらに、2009年度には7.6mg/Lとなり、全国ワースト5位以内から抜け出すことができた。 なお、2009年(平成17年度)時点のCOD値は、環境省の定める環境基準(湖沼Bの佐鳴湖は5mg/L以下)と比較して依然として高水準であるため、引き続き、水質改善のための対策が行われている。 汚濁度の高い湖ではあるが重金属や有毒化学物質などのいわゆる有害物質が高濃度で存在するというデータはない。現時点で遊泳や飲用には適さないが、魚介類を採取して食すことで問題は起きていない。
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