水槽による再現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 09:25 UTC 版)
三角波やフリーク波への海洋関係者の関心が集まる一方、従来の試験水槽での実験では実海域とは異なる波浪しか造ることが出来ず、実際の波浪上での挙動は実験データからの推定で算出していた。こうした計算やデータに基づく推定に止まらない研究への需要が高まっていった。それに応えるため、日本では国土交通省の支援の下、海上技術安全研究所が実海域再現水槽を建設し、2010年6月17日に完成した。この水槽は元々あった三鷹第一船舶試験水槽(角水槽)を活用したもので、全周に造波機を備えている。それまでの水槽では不可能であった、荒天の海象、三角波、フリーク波のいずれも再現を可能にし、完成式典では高さ4m程のフリーク波が披露された。 水槽で運用する模型船は実船の50分の1~100分の1程度の縮尺である。本水槽の建設目的は海難事故の再現であるが、この研究では小型船の実験の割合が大きくなり、その場合には10分の1程度の縮尺の模型を使用する。そうした大縮尺の模型船は高い速度で曳く必要があり、台車も高速なものが用意された。 以前の角水槽でも模型船の船底に超音波発信器を取り付け、水槽の四隅に受信器を設置する事で航跡の精度は1cm以内を達成していた。模型船の大きさは4mであるため、誤差としては400分の1であった。しかし、更なる誤差縮小の必要から新型水槽では自動追尾機能やレーザー計測などにより精度を角水槽時代の10分の1に引き上げている。この水槽では各種船舶の復原性能、耐抗性能、推進性能等について、より現実的で高精度な検証を実施していくことを計画している。
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