気化熱の利用による冷房効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 18:26 UTC 版)
「ミスト散布」の記事における「気化熱の利用による冷房効果」の解説
水を人工的に霧(ミスト)として散布し、その気化熱の吸収を利用した冷房や冷却を目的とする利用が行われる。霧の中に入ると涼しく感じる事は、古くから多くの人が経験しており、打ち水もその例である。初めて冷房・冷却を目的としたミスト散布は辻本誠 や能美防災などによって2003年7月下旬から8月中旬にかけて実験が行われ、2005年の「愛・地球博」で一般に公開されてからビルや公共施設などの屋外や屋内での冷房や冷却設備として広く利用され始めた。霧状となった水はその粒子が極めて小さいために素早く蒸発し、肌や服が濡れることもほとんどない。 霧は水を高圧ポンプで圧縮し、配管を経て微細な穴を持つノズルから噴射されることによって作られ、水は微細なほぼ径5~30マイクロメートルの粒子となる。辻本誠などによれば水の粒子の「ザウター平均粒径(Sauter mean diameter)」 を16μmにまで細かくしたと言う。 例えば、屋外で周辺の気温を2~3℃下げるためのエネルギー消費は、家庭用のエアコンの1/5〜1/20といわれているが、その値も諸説ある。現在の段階でも、各大学・各企業で様々なフィールド実験が行われているところである。特に屋外におけるミスト散布においては、散布の広さ、ノズルの配置、時期ごと湿度や温度、風速など様々な要因によって降下温度や電力消費量が変わってくる。2007年頃からエコが叫ばれるようになり、多くの企業や公共事業体で通常のエアコンなどのコストのかかる冷房に替わるミスト散布の冷却を採用し始めた。
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