打ち水とは? わかりやすく解説

うち‐みず〔‐みづ〕【打(ち)水】

読み方:うちみず

[名](スル)道や庭にをまくこと。撒(ま)き。また、その。特に、夏の夕方などに涼をとるためにまく。《 夏》「—や砂に滲みゆく樹々の影/亜浪」


打ち水

周辺温度下げたり湿度高くするために、鉢植えのまわり地面をまくこと。一般にはほこりを鎮めた暑さやわらげるため、道や庭先などにをまくこと。また、その

打ち水

作者M.FUMENO

収載図書2分で読めるとても短い物語
出版社文芸社
刊行年月2005.6


打ち水

鉢の周辺を濡らすこと。散水夏期、夜温を下げるのに効果的な方法

打ち水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/07 22:43 UTC 版)

打ち水

打ち水(うちみず)とは、庭先道路など屋外の地面にを撒いて涼を得る日本の伝統的な慣習である[1]。また、その水のこと。打水とも。

歴史と文化的背景

打ち水の起源については諸説あるが、戦国時代安土桃山時代に成立した茶道では、来客前・中立ち・終会時の三度に露地へ水を撒く「三露」の作法が知られており[2]、その作法にその源を求める説がある[3]

このような茶道の礼節作法が一般庶民にも広まったのは江戸時代ごろで[3]、江戸時代の俳諧師である宝井其角の句「水うてや蝉も雀もぬるる程」のように打ち水が俳句に詠まれることもあった[4]。当時の打ち水の習慣は涼をとることに加え、道の土埃が舞わないようにしたり、客を招く時に玄関先や道に水を撒くことで、お清めをする意味もあった[3]

打ち水の冷却効果

打ち水の冷却効果は、水が蒸発するときに周囲から蒸発熱を奪う現象に基づく。水1 gの蒸発に伴い約2.45 kJ(0.58 kcal)[5]の熱が吸収されるため、地表面温度とその付近の気温が低下する。

2003年、2004年、2007年の夏に東京都墨田区で実施された研究によれば、広域に一斉散水した場合に気温が平均0.5 ℃~0.7℃程度低下するとの結果が報告されている[6][7][8]。南池袋公園で実施された観測では、打ち水直後に地表面温度が約20 ℃下がったものの、効果の持続はおおむね1 時間以内であった[9]

冷却効果は時間帯・散水量・気象条件によって大きく変動する。朝夕や日陰で行うと蒸発に要する時間が長くなり、冷却が持続しやすいとされる[10]。一方、炎天下の乾燥条件下では水が瞬時に蒸発し、局所的に湿度が上昇することで「蒸し暑さ」が強まる場合もある。岐阜県多治見市では、散水車による大規模な打ち水が「かえって暑く感じる」との市民の声を受けて2010年に中止された例が報じられている [11]

ヒートアイランド対策としての打ち水

銀座で開かれたイベントでの打ち水の様子

近年では東京都などの全国の市町村が都市部のヒートアイランド対策として、一斉に打ち水を行うという計画を進めている[12][13]。また、政府も地球温暖化対策キャンペーンの一環として打ち水を奨励している[14][12][13]

国土交通省は、「雨水や下水再生水などの二次利用水を活用した『打ち水』の生活習慣化は、無理のない節水に繋がり、貴重な水資源の有効利用に結びつく」として、水の週間一斉打ち水大作戦を2008年から毎年展開している[15][16]

また近年は水道局もこうした打ち水イベントに取り組んでいる[17]。その一例が下水再生水の無償提供である。東京都下水道局は2017年、事前に連絡の上、再生水を持ち運べる容器を持参することで、水再生センターで無料提供した[18]

また人間の手による打ち水に加え、一部の都市では保水効果を高めるため道路に追加舗装をしているところもある[要出典]

新潟県三条市など積雪地域では、道路などに設置された消雪パイプを利用して打ち水を実施する試みもある[19]

脚注

  1. ^ 日本国語大辞典,日本大百科全書(ニッポニカ), デジタル大辞泉,精選版. “打水(ウチミズ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年7月6日閲覧。
  2. ^ 日本国語大辞典, デジタル大辞泉,精選版. “三露(サンロ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年7月6日閲覧。
  3. ^ a b c 読んで涼をとる!「打ち水」の歴史| ビジネスコラム | NTTファシリティーズ”. www.ntt-f.co.jp. 2025年7月6日閲覧。
  4. ^ 水うてや蝉も雀もぬるゝ程  宝井其角 | haikudatabase.com | 俳句データベースドットコム”. haikudatabase.com. 2025年7月6日閲覧。
  5. ^ Heat of Vaporization” (英語). Chemistry LibreTexts (2013年10月2日). 2025年7月6日閲覧。
  6. ^ 狩野学・手計太一・木内豪・榊茂之・山田正 (2004). “打ち水の効果に関する社会実験と数値計算を用いた検証”. 水工学論文集 第48巻: 193-198. https://www.jstage.jst.go.jp/article/prohe1990/48/0/48_0_193/_pdf. 
  7. ^ 土屋修一・加藤拓磨・手計太一・山田正 (2005年2月). “打ち水による市街地の熱環境緩和効果”. 水工学論文集 第49巻. http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00028/2005/49-0367.pdf#page=1&zoom=auto,-275,851. 
  8. ^ 加藤拓磨・手計太一・土屋修一・山田正 (2008年2月). “打ち水による熱環境緩和作用”. 水工学論文集 第52巻. http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00028/2008/52-0277.pdf#page=5&zoom=auto,-274,3. 
  9. ^ 打ち水効果をサーモカメラで観測! | 熱ゼロ研究室”. 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進. 2025年7月6日閲覧。
  10. ^ ご存知ですか?夏の風物詩「打ち水」のコツ”. ecojin(エコジン):環境省 (2023年8月9日). 2025年7月6日閲覧。
  11. ^ 『「暑さ日本一」多治見で打ち水中止…余計暑くなる』”. 岡山のむすす♪mususukunjp. 2025年7月6日閲覧。
  12. ^ a b バケツでひしゃくで…「打ち水大作戦」各地でスタート」『読売新聞読売新聞社、2004年8月18日。オリジナルの2004年8月19日時点におけるアーカイブ。2025年6月13日閲覧。
  13. ^ a b 都会を冷やせ! 打ち水で猛暑緩和大作戦」『朝日新聞朝日新聞社、2004年8月18日。オリジナルの2004年8月20日時点におけるアーカイブ。2025年6月13日閲覧。
  14. ^ 広島市下水道サポーター通信第2号” (PDF). 広島市役所. 2011年7月31日閲覧。
  15. ^ 水資源:水の週間一斉打ち水大作戦”. 国土交通省. 2025年6月13日閲覧。
  16. ^ 「国土交通省打ち水大作戦 2008」を開始” (PDF). 国土交通省. 2025年6月13日閲覧。
  17. ^ 横浜市水道局の打ち水大作戦”. 横浜市水道局 (2015年11月5日). 2015年11月5日閲覧。
  18. ^ "打ち水"に、再生水を提供します”. 東京都水道局 (2017年6月21日). 2018年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月21日閲覧。
  19. ^ “三条市が初めて消雪パイプを打ち水に活用”. ケンオー・ドットコム. (2018年7月26日). http://www.kenoh.com/2018/07/26_uchimizu.html 

関連項目

外部リンク


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