民事紛争処理制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 07:08 UTC 版)
「中華人民共和国法」の記事における「民事紛争処理制度」の解説
中華人民共和国民事訴訟法は、法院は民事事件について判決をする前に調停を行うという調停前置主義を採用している。また、民事訴訟法は、職権探知主義を採用し、当事者が収集不可能な証拠や事件の審理に必要と認める証拠を人民法院が自ら調査・収集する。また、訴えの取下には人民法院の許諾が必要であり、処分権主義も徹底されていない。 村民委員会などは、人民調停委員会を設置することができ、この人民調停委員会による人民調停が民間紛争の処理に大きな役割を果たしている。また、基層人民政府も「司法助理員」と呼ばれる専従職員を置き、民間紛争の調停に当たっている。その他、弁護士事務所や郷鎮法律サービス事務所も調停を行っている。ただ、基層人民政府による調停を除き、調停が成立しても、その後に当事者が翻意すれば人民法院への出訴等は妨げられないのが一般である。 仲裁については、「仲裁法」が制定されている。同法は、家族関係に関する民事紛争、行政争訟、労働紛争(別の仲裁制度を定めるものとしている)、農業集団経済組織内部の農業請負契約紛争(別の仲裁制度を定めるものとしている)については、適用されない。同法の適用がある民事紛争については、当事者は、仲裁合意に基づいて、一級行政区人民政府所在市の人民政府に置かれた仲裁委員会に、仲裁の申請をすることができる(仲裁合意があるのに人民政府に提訴しても、受理されない)。仲裁は、仲裁委員会が事件ごとに任命する仲裁人が行う。仲裁裁定は、一審限りの終局判断とされ、手続の瑕疵を理由として人民法院に取消しを求めることができるほかは、不服を申し立てることができない。 中国民事訴訟法231条は、訴訟の解決までの間、外国人当事者に対して人民法院による出国停止処分を認めている。近年、日本企業に対して従業員や取引先が訴訟をおこし、企業の責任者などが出国停止処分を受ける例が急増し、問題となっている。(チャイナリスクも参照のこと)
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