毛沢東主義への憧れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:33 UTC 版)
当時のフランスでは赤い中国のGrand Timonierこと毛沢東の著書「Le petit livre rouge de mao」(「毛主席語録」)が流行していた。それはパリのENS(高等師範学校)の学生たちを通じてひろまり、左派知識人たちを活気づけ、学生や労働者を団結させる思想だった。学生はアメリカの覇権主義に反対するモデルとして毛沢東思想の書籍を読んだ。したがって中国への憧れも「五月革命」には投影されている。ただその憧れは思想的に深められることがなく、ロマンチシズムの色彩が濃かった。さらに当然なことながら、学生には政府を転覆させる力はなかった。つまり本物の武力による革命ではなくて、学生時代のモラトリアムな革命だった。 「造反有理」をかかげた日本の60年代の安保闘争同様、現実の議会構成には大きな影響をおよぼすことがなかったが、フランスが中国も憧れの対象としたことは、世界状況の変化を反映した当時の市民の意識の変化でもあった。
※この「毛沢東主義への憧れ」の解説は、「五月危機」の解説の一部です。
「毛沢東主義への憧れ」を含む「五月危機」の記事については、「五月危機」の概要を参照ください。
- 毛沢東主義への憧れのページへのリンク