母子感染(垂直感染)の防止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 05:16 UTC 版)
「ネビラピン」の記事における「母子感染(垂直感染)の防止」の解説
ウガンダで実施された臨床試験では、母と子へのネビラピンの単回投与はジドブジンの超短期投与と比較してHIV量をほぼ50%に減少させた。その後タイで実施された臨床試験では、ジドブジンにネビラピン単回投与を加えた群の方が、ジドブジン単独群よりも予防効果が高いことが示された。これらを始めとする複数の臨床試験の結果、WHOはネビラピン単回投与を開発途上国での安価な垂直感染予防策であると認めるに至った。しかし米国ではウガンダの試験には瑕疵があるとされ、2006年時点ではネビラピンの感染予防への使用は承認されなかった。だがHIVNET012試験の支持者らは、試験の瑕疵は事務官の不手際によるところが大きく、試験で得られたネビラピン単回投与の安全性と有効性の知見は科学的に揺ぎないものであり、絶対に破棄すべきでないと主張した上、リソースに乏しいアフリカの研究者達に欧米と同じ水準のモラル・試験手順を求めるのは非現実的であり、(試験結果の破棄は)科学界におけるアフリカの役割を過小評価し、アフリカでの科学の発展を妨げると論じた。もう1つ、授乳中の垂直感染の防止を目的とした臨床試験が実施され、2011年3月に完了したが、投与開始後6週間〜6ヶ月の感染率(ネビラピン群:1.1%、偽薬群:2.4%)では有意差(p=0.049)が付いたものの、死亡率及び感染・死亡率では有意差は付かなかった。同試験は18ヶ月まで実施され、感染率(ネ群:2.2%、偽群:3.1%)の数字はネビラピン群の方が低かったものの有意差や傾向は見られなかった(p=0.28)。 この方法で最も心配されていることは、単回投与された母子の双方でNNRTI耐性変異が観察されている事であり、将来NNRTIを含む処方を用いた際の効果が低くなる可能性が指摘されている。そのため米国公衆衛生局タスクフォースは、母体へのジドブジン・ラミブジン短期投与を推奨している。
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