機能と前提
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 00:29 UTC 版)
古典的には、かかしは竹や藁で造形した人形であることが通例であった。これは機能の面から言えば、鳥獣に対して「人間がいる」ように見せかけることを目的としている。人間が農作業をおこなっているときには鳥獣は近づかないからである。『和漢三才図会』の「案山子」の絵図には、笠をかぶり、蓑を着させ、竹足は3本で、弓矢を構えて威嚇する狩人タイプが見られる。 現代においては巨大な目玉を模した風船なども用いられる。これは、大きな目を恐れるという動物の本能を利用したものである。 カラスなどは特にその能力が高いが、田畑を狙う側も当然ながら学習能力があり、動かないかかしは無害なものと認識されてしまう。そのため、風やその他の動力によって不規則な動作をするものも工夫された。田畑の上に糸を走らせ、そこに風車の類を通したり、銀色のテープを多数吊り下げることで、きらきらと光り鳥獣を威嚇する効果を出すものなどがある。 また、カラスの死体をつり下げた状態を模した(ビニール製などの)かかしも考案され、実際に使用されている。「仲間の死体」=「そこには罠があり危険である」という理解がなされるためである。実際にカラスの死体を吊り下げることもあったが、いずれもカラスの慣れによって効果がなくなる場合が多い。 また、視覚的なものに頼らない手段・道具もあり、これもまたかかしに分類できるかもしれない。近年考案された、爆音を用いて威嚇する装置や、古くは「鹿おどし」もその一つと言える。ただしカラスは、実質的に無害なものと認識してしまうので、爆音は一定期間の後に無効になってしまったという観察例もある。 嗅覚を利用するものには、肉食獣の匂いのするもの(屎尿などを含む)を田畑の近くに設置するという方法も試みられている。ライオンなど、日本に存在しない肉食獣であっても、イノシシなどはそれを警戒し、近づかないという。そもそも、かかしの本来の形はこうした嗅覚を利用したものであったとも考えられる。
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