構造と物理化学的性状
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「ウェルシュ菌」の記事における「構造と物理化学的性状」の解説
CPEは319アミノ酸からなる分子量35317Da、等電点4,3、易熱性の蛋白質である。活性発揮のためにプロテアーゼによる切断などの翻訳後プロセシングは必要とされない。しかし、トリプシン処理によりN末端側25アミノ酸を切断することにより、活性が数倍上昇する。アミノ酸配列上、他の細菌由来のPore-forming toxin(孔形成毒素)との相同性は認められない。例外として、ボツリヌス菌が産出するAntp70/C1蛋白質との間にアミノ酸配列の相同性がわずかに認められるが、その意義は明らかになっていない。 CPE分子の186番目の位置にシステイン残基が1つ存在する。CPEはこのシステイン残基をはさんで、N末端側とC末端側の機能ドメインに分割可能である。C末端断片は感受性細胞表面に発現する受容体への結合ドメインが存在し、N末端断片には細胞障害性発揮のために必要なドメインが含まれている。active domainとbinding domainに分かれるA-B型毒素に分類される。CPEは電気泳動の際に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えて、変性条件下におくことにより、高分子量の自己凝集体を形成する。C末端ドメイン(アミノ酸186~319)は単一バンドとして電気泳動されることから、自己凝集活性はNドメインにあると考えられている。その後の研究ではアミノ酸290~319のC末端断片でもCPE受容体と結合した。またC-CPE184-319の変異体を用いた研究ではY306、Y310、Y312、L315などがCPEとCPE受容体の結合に重要な役割を果たすことがわかった。C-CPE184-319のC末端の16アミノ酸を欠失させたC-CPE303はクローディン-4とC-CPEは相互作用できなくなった。 大阪大学大学院薬学研究科の研究グループは、C-CPE184-319のC末端の16アミノ酸をそれぞれ置換することで、ドメイン・マップを作成した。その結果から作成されたC-CPE変異体のひとつであるC-CPEY306/L315Aはクローディン4との結合が弱いだけではなく、多くのクローディン・ファミリーとも結合が弱いため、C-CPEを用いた実験で陰性対照群としてしばしば用いられる。
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構造と物理化学的性状
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「クローディン」の記事における「構造と物理化学的性状」の解説
CPEは319アミノ酸からなる分子量35317Da、等電点4,3、易熱性の蛋白質である。活性発揮のためにプロテアーゼによる切断などの翻訳後プロセシングは必要とされない。しかし、トリプシン処理によりN末端側25アミノ酸を切断することにより、活性が数倍上昇する。アミノ酸配列上、他の細菌由来のPore-forming toxin(孔形成毒素)との相同性は認められない。例外としてアミノ酸配列の相同性がボツリヌス菌が産出するAntp70/C1蛋白質との間にわずかに認められるがその意義は明らかになっていない。 CPE分子の186番目の位置にシステイン残基が1つ存在する。CPEはこのシステイン残基をはさんでN末端側とC末端側の機能ドメインに分割可能である。C末端断片は感受性細胞表面に発現する受容体への結合ドメインが存在し、N末端断片には細胞障害性発揮のために必要なドメインが含まれている。active domainとbinding domainに分かれるA-B型毒素に分類される。CPEは電気泳動の際に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えて、変性条件下におくことにより、高分子量の自己凝集体を形成する。C末端ドメイン(アミノ酸186~319)は単一バンドとして電気泳動されることから、自己凝集活性はNドメインにあると考えられている。その後の研究ではアミノ酸290~319のC末端断片でもCPE受容体と結合した。またC-CPE184-319の変異体を用いた研究ではY306、Y310、Y312、L315などがCPEとCPE受容体の結合に重要な役割を果たすことがわかった。C-CPE184-319のC末端の16アミノ酸を欠失させたC-CPE303はクローディン-4とC-CPEは相互作用できなくなった。大阪大学の近藤らはC-CPE184-319のC末端の16アミノ酸をそれぞれ置換することでドメイン・マップを作成した。その結果から作成されたC-CPE変異体のひとつであるC-CPEY306/L315Aはクローディン4との結合が弱いだけではなく、多くのクローディン・ファミリーとも結合が弱いため、C-CPEを用いた実験で陰性対照群としてしばしば用いられる。 CPEの構造は2011年にSPring-8でビームラインBL44XUを用いて結晶構造解析されている。
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