植物の進出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 16:38 UTC 版)
大正大噴火終了後、溶岩流上に植物が進出していく。大正溶岩上では噴火後21年でクロマツ、36年後にヤシャブシ、48年後にタブノキ、ヒサカキなど、84年後にはアラカシ、ムベ、シャリンバイなど、96年後になるとクロガネモチ、マンリョウ、マツバランなどが確認されており、噴火後時間を経過するにつれて植物の種類、特に照葉樹が多く進出していく傾向が指摘されている。2015年の調査では大正溶岩上の植物群落はイタドリ、クロマツ群落を基本としてシャリンバイなどが多く確認されている。 また大正溶岩では、東側と西側では植生に差が見られることが指摘されている。まず溶岩の割れ目でも根が張りやすい特徴があるクロマツを除いた広葉樹などは、東側の溶岩への進出が遅れたことが確認されている。また2015年の調査時においても東側の溶岩上の植生は西側よりも植生を構成する種が少なかった。 大正大噴火で噴出した溶岩のうち、西側に流れた溶岩は溶岩流出後に火砕流が起きたため、表面に火砕物が取り込まれたことにより凹凸が多く、水や土砂が貯まりやすい上に、溶岩表面自体ももろくて風化しやすい特徴がある。一方東側に流れた溶岩流は、表面に火砕流の影響が見られず溶岩がブロック状に重なっている。そのため西側に流れた溶岩流は東側よりも植物の定着が容易であった。また近年噴火が相次いでいる桜島からの降灰と亜硫酸ガスも東側が多いことも、東側の溶岩への植物進出の遅れに影響していると考えられている。
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