植物への使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:45 UTC 版)
畜産における抗生物質の使用は1950年代から始まっているが、植物に対してもペニシリン、ストレプトマイシン、クロルテトラサイクリン、クロラムフェニコール、オキシテトラサイクリンなどが病気から植物を守るために使用できないか1940年代後半から検討されてきた。しかしながら低容量では効果がない、高容量では薬害が問題となる、他の防除法と比して費用がかかるといった点から、実際にはストレプトマイシンとオキシテトラサイクリンが特定の病気に使用される様になったのみである。植物に対して使用する場合、水に溶かして散布することにより使用される。費用の問題から、実際に使用されるのは生産品が高価な果樹や野菜と観葉植物などのようにコストの回収が容易な植物に対してのみである。また、アメリカ合衆国の場合、植物に対して使用される抗生物質はアメリカ合衆国内の抗生物質使用量の0.1%以下と言われる。ストレプトマイシンは植物の疾患制御に使われる主要な抗生物質で、リンゴやナシの火傷病を引き起こすErwinia amylovoraや、リンゴやナシの花弁・果実に感染するPseudomonas syringae、トマトなどの斑点細菌病の原因菌であるXanthomonas campestrisなどの病原体に対して使用される。またモモなどの斑点細菌病に対してはオキシテトラサイクリンが用いられる。他に日本ではカビによって生じるイネの病気であるイネいもち病の防除に、ブラストサイジンSやカスガマイシンなどの抗生物質が利用されている。 また、植物の根と微生物は共生関係にあることがあり、特に菌類と植物の根の相互作用が行われる場は菌根圏と呼ばれることもある。菌根圏に存在する微生物には放線菌のように抗生物質を産生するものもおり、これが植物に対する有害微生物の増殖を抑制するとも考えられている。
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