根岸一行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/12 13:14 UTC 版)
ねぎし かずゆき
根岸 一行
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生誕 | 1971年3月17日(54歳)![]() |
国籍 | ![]() |
出身校 | 東京大学経済学部 |
職業 | 郵政・総務官僚 実業家 |
活動期間 | 1994年 - |
団体 | 日本郵政グループ |
肩書き | 日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長兼グループCEO 日本郵便株式会社取締役 株式会社ゆうちょ銀行取締役 株式会社かんぽ生命保険取締役 |
任期 | 2025年 - |
前任者 | 増田寬也 |
根岸 一行(ねぎし かずゆき、1971年〈昭和46年〉3月17日 - )は、日本の郵政省・総務省官僚、実業家。日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長[3][4]、日本郵政グループCEO[5]、日本郵便株式会社取締役[6]、株式会社ゆうちょ銀行取締役[6]、株式会社かんぽ生命保険取締役[6]。
経歴
神奈川県生まれ。外祖父の家の隣が郵便局で、幼少期は記念切手収集を趣味としていた。また、学生時代には鎌倉市の禅寺で座禅を組むなどした[2][1]。
1994年に東京大学経済学部を卒業し郵政省(現総務省)に入省[6][7][1]。最初の2年間は簡易保険局で資金運用を担当した[2]。その後、イギリスの大学に1年間留学し、帰国後は経済企画庁で経済白書作成に携わった[2]。
京都府の郵便局副局長を務めたのちは、郵政事業庁簡易保険事業部の事務部門に戻り、リスク管理やコンプライアンスを担当し、日本郵政公社では新設の経営企画部門に配属となった[2]。
郵政民営化後はかんぽ生命保険に入社[2]。2010年にかんぽ生命保険で営業推進部担当部長に就任した[6]。その後、日本郵便で経営企画部長などを歴任し、2019年4月から常務執行役員となる[4]。2023年に日本郵便の東海支社長に就任[6]。
2025年、全国2391の郵便局において運転手の酒気帯びの有無などを確認する点呼が、記録簿の改竄により不適切に行われていた問題を受け、当時の常務執行役員東海支社長として、千田哲也代表取締役社長、美並義人代表取締役副社長、小池信也常務執行役員近畿支社長、高橋文昭常務執行役員東京支社長らが、月額報酬の減額処分を受けたのに合わせ、月額報酬の20%の3か月間の自主返納を行った[8][9][10][11]。
同年、増田寬也の後任として、日本郵政の取締役代表執行役社長に就任[4]。同時に就いた日本郵便の小池信也代表取締役社長とともに旧郵政省出身で、特に民営化後、旧郵政官僚が持ち株会社のトップに就任するのは初めてとなった[4]。
社長の選任のプロセスは、日本郵政の指名委員会(岡本毅委員長、進藤孝生委員、増田寬也委員)や、指名委員会懇談会での議論で進められた[12][6]。指名委員会では、当初は外部から優秀な経営者を招く方針で、2023年からメガバンクの頭取経験者やJR各社の経営者などにも打診を続けていた。しかし度重なる不祥事の影響もあり、「火中の栗を拾うという形にはいかなかった」「かなり温度の高い栗と思われていた」と、人選が難航したことを増田前社長は示唆した[13][14]。
また、NTTや日本たばこ産業が民営化後に内部登用へと切り替えていった経緯を踏まえ、内部登用が民営化後に入社した若い職員のモチベーション向上につながるという意見も出たという[12]。そのため、2024年から内部からの登用方針に切り替え、外部からの登用を断念した[12]。記者会見で増田は根岸について、「世代の中で一番早く執行役、そして常務に昇進し、非常に沈着冷静」であり、「不適正募集などの際には私のところにさまざまな件で説明に来て、論理一貫していて実態も現場もよく把握していた」と紹介した[12]。
一方、小泉内閣で郵政民営化を進めた竹中平蔵(元郵政民営化担当大臣、元総務大臣)や、髙橋洋一(竹中の元大臣補佐官、元内閣官房郵政民営化準備室参事官)は、旧郵政官僚がトップに就くことについて、民営化の流れに逆行するのではないかと批判している[15]。
略歴
- 1994年(平成6年)3月 - 東京大学経済学部卒業[6]。
- 1994年(平成6年)4月 - 郵政省(現総務省)入省[6]。
- 2010年(平成22年)4月 - 株式会社かんぽ生命保険営業推進部担当部長[6]。
- 2011年(平成23年)4月 - 同社運用企画部担当部長[6]。
- 2012年(平成24年)4月 - 郵便局株式会社経営企画部担当部長[6]。
- 2012年(平成24年)10月 - 日本郵便株式会社経営企画部担当部長[6]。
- 2014年(平成26年)1月 - 同社経営企画部企画役[6]。
- 2015年(平成27年)12月 - 同社経営企画部長[6]。
- 2017年(平成29年)4月 - 同社執行役員(経営企画部担当補佐兼デジタルビジネス戦略部担当)[6][16]。
- 2019年(平成31年)4月 - 同社常務執行役員、日本郵政株式会社常務執行役(特命)[6][17]。
- 2020年(令和2年)4月 - 同社常務執行役員(人事部担当兼経営企画部担当補佐)[18][19]。
- 2021年(令和3年)4月 - 同社常務執行役員(コンプライアンス統括部担当)[20]。
- 2021年(令和3年)8月 - 同社常務執行役員(コンプライアンス企画部・コンプライアンス調査部担当)[21]。
- 2023年(令和5年)4月 - 同社常務執行役員東海支社長[6]。
- 2025年(令和7年)4月 - 日本郵政株式会社常務執行役(特命)[6][22]。
- 2025年(令和7年)6月 - 同社取締役兼代表執行役社長兼グループCEO[6][5]、日本郵便株式会社取締役[6]、株式会社ゆうちょ銀行取締役[6]、株式会社かんぽ生命保険取締役[6]。
脚注
- ^ a b c 「日本郵政 日本郵政社長退任へ 傘下企業、不祥事相次ぎ」『』毎日新聞、2025年3月29日。2025年9月12日閲覧。
- ^ a b c d e f “日本郵政株式会社社長 根岸一行様 礎を築いた日々-価値観を育んだ経験”. 公益財団法人ゆうちょ財団 (2025年7月). 2025年9月12日閲覧。
- ^ “取締役の略歴”. 日本郵政株式会社 (2025年6月26日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ a b c d 「日本郵政の増田寛也社長が退任 後任に根岸一行氏、初の元郵政官僚」『』朝日新聞デジタル、2025年3月28日。2025年9月12日閲覧。
- ^ a b 「人事、日本郵政」『』日本経済新聞、2025年5月15日。2025年9月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w “取締役の略歴”. 日本郵政株式会社 (2025年6月26日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ 「日本郵政 新社長に根岸氏」『』Daily Cargo、2025年4月1日。2025年9月12日閲覧。
- ^ 責任の明確化日本郵便2025年6月17日
- ^ 日本郵便、社長ら減給処分 物流網維持へ外部委託も時事通信 経済部2025年06月17日18時38分配信
- ^ 全国75%の郵便局で不適切点呼 日本郵便、調査結果公表時事通信 社会部2025年04月23日19時13分配信
- ^ 日本郵便 点呼記録改ざん10万件余 千田社長の報酬減額を発表NHK2025年6月17日 17時13分
- ^ a b c d “代表執行役の異動等に関する社長記者会見”. 日本郵政株式会社 (2025年4月2日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ 「日本郵政、不祥事続き「官業回帰」 社長に初の元郵政官僚」『』日本経済新聞、2025年3月29日。2025年9月12日閲覧。
- ^ “将来展望を描けない日本郵政、「郵政民営化」の原点とは何だったか?”. 財界 (2025年5月2日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ “【竹中平蔵×髙橋洋一】20年ぶりの衝撃激白!郵政民営化"スパイ100人"と消費増税阻止の真実【小泉内閣 元大臣×元補佐官 ついにコラボ】”. 竹中平蔵の平ちゃんねる (2025年6月27日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ 人事、日本郵便日本経済新聞2017年3月23日 10:58
- ^ 役員異動のお知らせ2019年3月26日日本郵政株式会社
- ^ 人事、日本郵便日本経済新聞2020年3月24日 15:17
- ^ 人事、日本郵便日本経済新聞2021年3月24日 18:46
- ^ 人事、日本郵便日本経済新聞2021年3月24日 18:46
- ^ 人事、日本郵便日本経済新聞2021年7月16日 16:52
- ^ 役員異動のお知らせ2025 年 5 月 15 日 日本郵政株式会社
外部リンク
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