東日本大震災後の検討
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2011年12月から2012年1月に気象庁が行った意見募集では、自治体からの意見として「津波注意報の位置づけが分かりにくい」と述べられているのに対して、気象庁は「津波注意報では居住区からの避難は不要であることについて十分周知・啓発に努める」、「津波注意報により居住区域で過大な避難行動がとられることは津波警報への危機感を弱める影響があると考える」との見解を示している。中央防災会議の「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」では「自治体サイドは、防災対応をもう少し緻密につくって、津波注意報では逃げなくてもいいというような広報を考えないといけない」と指摘されている。また、気象庁の地震津波監視課津波予測モデル開発推進官は「津波注意報については少し誤解がある。居住区への避難勧告等ではなく、海に入っている人は海から出る、気をつけてくださいよというアラート」、「津波注意報のたびに避難行動をとると、狼少年的なことにも」と話している。2012年7月18日、中央防災会議の津波避難対策検討ワーキンググループが取りまとめた報告で、津波注意報については「海水浴等により海岸保全施設等よりも海側にいる人は、津波注意報でも避難する必要がある」と記載されている。防災白書に掲載の釧路市のハザードマップでは、津波注意報については「海岸、河口及び川岸から速やかに離れてください」と記載されている。また、大洗町の津波避難誘導マップでは、津波注意報で避難が必要なエリアとして、海水浴場「大洗サンビーチ」に隣接した駐車場が指定されている。 津波注意報が発表された際に内陸部の小中学校と幼稚園からも高台への避難を行う旨の指針を南あわじ市教育委員会が作成している事例や津波注意報が発表された場合、予め定められた地域に避難勧告を西宮市が発令すると定めている事例、津波注意報相当の高さの津波に対して居住区から避難するよう地震防災を研究している境有紀が住民に呼びかけている事例もある。実際に津波注意報が発表されたときの対応の事例としては、2011年3月9日に発表された津波注意報では大船渡市・洋野町・普代村が避難勧告を、2011年7月10日に発表された津波注意報では大槌町や宮城県東松島市で避難指示・その他の各地で避難勧告が発令され、海や河口から離れるだけでなく一部の居住区から避難所や高台への避難も行われた。また、2012年3月14日に発表された津波注意報でも、岩手県大槌町が避難指示、陸前高田市や釜石市など岩手県の5市町村とむつ市・東通村・風間浦村が住民に避難勧告を発令した。
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