有機アインスタイニウム化合物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 09:06 UTC 版)
「アインスタイニウム」の記事における「有機アインスタイニウム化合物」の解説
アインスタイニウムの高い放射能は放射線療法での潜在的な用途があり、有機金属錯体はアインスタイニウム原子を体内の適切な臓器に届けるために合成されている。クエン酸アインスタイニウム(およびフェルミウム化合物)を犬に注射する実験が行われている。アインスタイニウム(III)もベータジケトンキレート錯体に組み込まれたが、これはランタノイドと類似の錯体が以前有機金属化合物の中で最も強いUV励起発光を示したためである。アインスタイニウム錯体を調製するとき、Es3+イオンはGd3+イオンで1000倍に希釈され、これにより測定に必要な20分間に化合物が崩壊しないように放射線による損傷を減らすことができた。結果生じたEs3+からの発光は非常に弱く、検出することができなかった。このことはキレートマトリックスからEs3+イオンへの効率的なエネルギー移動を妨げる化合物の個々の構成要素の好ましくない相対エネルギーにより説明された。他のアクチノイドのアメリシウム、バークリウム、およびフェルミウムについても同様の結論が出された。 しかし、Es3+イオンの発光は無機塩酸溶液やジ(2-エチルヘキシル)オルトリン酸を含む有機溶液で観察された。これは約1064nm(約100nmの半値幅)に広いピークを示し、緑色光(波長約495nm)により共鳴的に励起される。発光の寿命は数マイクロ秒で量子収率は0.1%未満である。ランタノイドと比較してEs3+の非放射減衰率は比較的高く、f電子と内部Es3+電子の相互作用が強いことに関連していた。
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