日本語による和声教科書
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「和声 理論と実習」の記事における「日本語による和声教科書」の解説
翻訳ではない日本語による最初の和声教科書は、1908年に出版された福井直秋の『和声学初歩』である。その後山田耕筰や田中敬一の教科書などが出版された。 戦後、1950年に出版された長谷川良夫『大和声学教程』(音楽之友社)と1954年の諸井三郎『機能和声法』(音楽之友社)には共にルードルフ・ルイ、 ルートヴィヒ・トゥイレ共著の『和声学』(山根銀二ほか訳)の影響がある。1959年の下総皖一『和声学』(全音楽譜出版社)にはヒンデミットの影響がある。これらはいずれもドイツの和声学をもとにしている。これに対して池内友次郎はフランスの和声法を日本に紹介した。池内の方法はのちに出版された池内友次郎編の『和声課題集』と『和声実施集』上下巻の3冊(1989年、1990年)によって知られる。 池内の後継者と目される島岡譲は1958年の外崎幹二との共著『和声の原理と実習』(音楽之友社)でドイツ、フランスいずれの表記法とも異なる和音の転回形を明示する記号を考案した。この和音記号方式は『和声 理論と実習』(通称『芸大和声』)によって継承され、日本語による音楽教育現場で定着した。島岡はさらに1982年から1988年にかけて『音楽の理論と実習』全3巻および『別巻』全3巻を音楽之友社から出版している。これは学問としては価値の高いものであるが難解にすぎる弊がある。島岡の後輩にあたる矢代秋雄と野田暉行は日本独特の島岡による転回形の明示を継承していない。それぞれ『矢代秋雄 和声集成』1-3(全音楽譜出版社、1982年)および『和声50課題集』(野田暉行著、音楽之友社、1990年)がある。 1998年になって島岡らによって新たに『総合和声 実技・分析・原理』(音楽之友社)が出版された。2006年と2007年には大阪音楽大学教授の植野正敏らによる『明解 和声法』上下巻(音楽之友社)が出版された。 なお、現在の東京藝術大学の和声教科書には、2015年より林達也著『新しい和声 理論と聴感覚の統合』(アルテスパブリッシング)が使用されている。
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