日本海オロロンラインとは? わかりやすく解説

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日本海オロロンライン

(日本海えびタコ街道 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/17 14:22 UTC 版)

国道231号幌〜床丹間。国道は山肌と海の間に設けられている
雄冬岬にある白銀の滝

日本海オロロンライン(にほんかいオロロンライン)は、北海道小樽市から稚内市までの間、日本海沿岸中北部の隣接した15市町村ならびに利尻島内2町および礼文島内1町の併せた18市町村の地域一帯(当時)を指していた[1][2][3]

しかし、交通の難所が特に多い国道231号の防災改良が進み交通状況が改良されるにつれて、小樽市から日本海沿岸を稚内市まで結ぶ複数の道路(総延長327キロメートル[4])の呼称として使われるようになった。

なお、「日本海」の文字を省略して、単に「オロロンライン」と呼称または表記されることがある。

呼称の由来

「オロロン」は、北海道の日本海側北西部に位置する「天売島」(てうりとう/苫前郡羽幌町)に生息する海鳥である、ウミガラスの別名「オロロン鳥」(オロロンちょう)の鳴き声からきている。

その他、広域観光推進を目的として組織された「日本海オロロンライン観光開発推進協議会」〔1989年(平成元年)に組織[5]され2006年(平成18年)度末で解散[6])からきており、小樽市・石狩市・厚田村(現:石狩市厚田区)・浜益村(現:石狩市浜益区)・増毛町・留萌市・小平町・苫前町・羽幌町・初山別村・遠別町・天塩町・幌延町・豊富町・稚内市・利尻富士町・利尻町および礼文町)で構成されていた [7][8][9]

その後は、同協議会の解散後、利尻および礼文の3町を除く15市町村(当時)を通過する道路である国道の5号・337号・231号・232号および北海道道106号(稚内天塩線)の総称として、「日本海オロロンライン」と呼ばれるようになり、カーナビゲーションなどの路線表記に用いられている。

構成する道路などの情報

 〔北上方向に沿って、該当路線名および同区間・通過する自治体の名称(旧名称)および道路概況など〕

1 国道5号

  • 小樽市稲穂5丁目交差点から(東方向へ)同市星野町の国道337号交点まで

  (小樽市)

2 国道337号

  • 小樽市星野町の国道5号交点から(北東方向へ)石狩市新港南〔花畔(ばんなぐろ)IC〕の国道231号交点まで

  (小樽市および石狩市

3 国道231号

  • 石狩市新港南(花畔IC)の国道337号交点から(北方向へ)留萌市船場町の国道232号交点まで

  〔石狩市・同市厚田区(旧:厚田村)・同市浜益区(旧:浜益村)・増毛郡増毛町(ましけ)および留萌市

    • 石狩地方管内と留萌地方管内の境界付近一帯は、暑寒別連山が日本海に落ち込み覆いかぶさる断崖地形で陸路での行く手は阻まれており、特に石狩市厚田区安瀬(やそすけ)と同市浜益区毘砂別(びしゃべつ)の区間、雄冬岬付近の南北一帯(同市同区雄冬)および増毛町雄冬と同町大別苅(おおべっかり)の区間の海岸線は地図上での道路表記となっていて、道内でも屈指の難所と言われており久しく「幻の国道」と呼ばれていた。そのため途中の集落は道路で結ばれておらず「陸の孤島」とも呼ばれており、雄冬(おふゆ)集落(増毛および浜益)などは、近隣地区からの定期船や山道などにより交通や物流が確保されていた[10]
    • 開通後に崩落した雄冬岬トンネルが1983年(昭和58年)に復旧して改めて全線が開通[11][12]したものの、道路防災上は落石・崩落・雪崩などによる複数の通行規制区間を抱えていたことから、道路やトンネルの切替えなどを重ねて、現在は多くの覆道および20か所のトンネル[13]、法面などに対する道路防災改良事業が国土交通省北海道開発局により随時実施されている[14]
    • トンネルの半数は、延長が500メートル以上あり最長は4,700メートルを超える。内外の気温差によりトンネル内の路面が湿潤していることがあり、坑口には運転操作に対する注意喚起看板が設置されている。また、幅員が狭いトンネルもある。なお、そこ以外はおおむね日本海を眺望できるルートである。

4 国道232号

  • 留萌市船場町の国道231号交点から(北方向へ)天塩町字川口の北海道道106号(稚内天塩線)および同551号(円山天塩停車場線)の交点まで

  〔留萌市・留萌郡小平町(おびら)・苫前郡苫前町羽幌町(はぼろ)・初山別村(しょさんべつ)・
  天塩郡遠別町(えんべつ)および天塩町(てしお)]

    • 沿線には並行して国鉄羽幌線が運行(一部を除く)されていたが、分割民営化直前の1987年(昭和63年)3月に廃線となった。現在でも旧羽幌線のトンネル坑口や陸橋などの遺構が数多く見られる。また、沿線市町村には道の駅や温泉などの施設があるとともに、天売島焼尻島(やぎしりとう)がある羽幌町を更に北上すると、利尻富士(利尻島)を望む日本海を眺望できる。
    • 呼称の由来の一端であるオロロン鳥の巨大モニュメント(設置:羽幌町)が、同町の字栄町(市街地の南部)と字汐見(同町の北部地区)の山側に1基ずつ設置されている。外見は白黒でペンギンに似た姿をしており、飛ぶことよりも泳ぐことのほうが得意な鳥である。なお、当初は羽幌港天売港の岸壁にも1基ずつ設置されていたが、現在は撤去されている。
    • 沿線では、季節、場所や時間帯などにより、エゾシカの群れが斜面、路肩や路上に出没する[15]ことから、注意喚起がされている。

5 北海道道106号(稚内天塩線)

  • 天塩町字川口の国道232号交点から(西のち北方向へ)稚内市坂の下を経由して(東のち北方向へ)
    稚内市中央3丁目の国道40号交点まで

  〔天塩郡天塩町・幌延町(ほろのべ)・豊富町(とよとみ)および稚内市〕

なお、稚内市坂の下からノシャップ岬を経由して、市内中心部の同市中央2丁目に至る道路も存在するが、これは北海道道254号(抜海港線)の一部で「宗谷サンセットロード」と呼称されており、日本海オロロンラインの構成には含まれていない。

    • 幌延町字浜里の当該沿線には、オトンルイ風力発電所〔2003年(平成15年)9月運転開始/幌延風力発電株式会社設置〕[16]の大型風車28基[17]が3km以上[18]の区間に渡って建っている。2025年(令和7年)3月で稼働停止と公表されていたが、2027年(令和9年)3月まで運転継続と変更されている[19]
    • 幌延から豊富まで南北にサロベツ原野の中を長い直線区間が多いこの道路は、風車群以外は人家や電柱などの人工物がほとんど存在しない。天候や条件に恵まれれば、日本海の向こうに利尻富士を望むことができる絶景のルートである。風車群が建設される前にはこのロケーションを生かして、国内自動車メーカー車種や自動車用品メーカーのCM撮影が行われたことがある。
    • 当該沿線および稚内市の中心部では、季節、場所や時間帯などにより、エゾシカの群れが空き地、路肩や路上に出没することから、注意喚起がされている。


始点終点の考え方について

書籍(ドライブガイド)の一部(LEVOLANT特別編集 GAKKENMOOK絶景ドライブ100選[新装版]2015年9月30日10頁「起点は一般的に石狩川の河口周辺」(株)学研パブリック発行)および(LEVOLANT特別編集 GAKKEN
MOOK絶景ドライブ100選[改訂版]2018年9月14日第1版発行19頁「石狩川の河口を起点に」株式会社学研プラス発行)に、「日本海オロロンラインの起点は石狩川の河口と記載されている」が、これについては、石狩川の河口幅が広大で古くは江戸時代あたりから昭和53年まで渡船が運行されていたので、この解釈に至った可能性があるのと、広域観光推進を目的に小樽市から稚内市までの市町村で団体を組織して活動していたことから、石狩川河口周辺を起点とする記載は誤りと考えられる。


北海道内の他の沿岸道路の呼称との関連について

小樽市から日本海沿岸中南部を函館市まで結んでいる複数の道路には、「日本海追分ソーランライン」の呼称が使われているが、これも元々は広域観光推進のために組織された「日本海追分ソーランライン推進協議会」が存在していた[20][21][22]。 オロロンラインと追分ソーランラインは、小樽市が分岐点とされていて、グーグルマップには小樽市内の国道5号稲穂5丁目交差点から札幌市方向がオロロンラインで、余市町方向が追分ソーランラインと表記されている。

稚内市からオホーツク海沿岸を斜里町まで結んでいる複数の道路には、「オホーツクライン」の呼称が使われているが、これも元々は広域観光推進のために組織された「オホーツクライン観光開発推進協議会」が存在していた[23][24]

つまり北海道沿岸において、「○○○ライン」というのは、広域観光推進のための団体に使われていた用語が、現在では関係道路の呼称としてその意味が変化してきていると思われる。

「萌える天北オロロンルート」は、国土交通省北海道開発局内に事務局を置くシーニックバイウエイ北海道推進協議会が、増毛町から幌延町までの9市町村内(旧:留萌支庁管内)の道路など(沿岸や内陸に向かう国道・道道・フェリー航路)をすべて含んでいることから、日本海オロロンラインとはその概念がまったく違っている。


「日本海オロロンライン」の表記を用いる際、それが関係行政機関であったとしてもその範囲の意味合いは必ずしも正確ではなく、いわゆるあいまいな方法や表記の揺らぎなどといった誤解を起こしやすい使い方が見られている[25][26]
1987年(昭和62年)から2006年(平成18年)までの毎年8月に、増毛町から幌延町までの港や国道などを主な会場として、「日本海オロロンライントライアスロン国際大会」が開催されていたが、そのエリアは北海道の旧:留萌支庁管内(9市町村)のみであった。


観光

主な温泉または宿泊施設

  • 番屋の湯(石狩市)
  • 岩尾温泉「あったま~る」および「夕陽荘/せきようそう」(増毛郡増毛町
  • オーベルジュましけ(増毛郡増毛町)
  • ゆったりかん(小平郡小平町)
  • とままえ温泉ふわっと(苫前郡苫前町)
  • はぼろ温泉「サンセットプラザはぼろ」(苫前郡羽幌町)
  • しょさんべつ温泉ホテル岬の湯(苫前郡初山別村)
  • 旭温泉(天塩郡遠別町)
  • てしお温泉夕映(天塩郡天塩町)

海水浴場・キャンプ場および名所など

  • 石狩浜海水浴場/あそびーち石狩(石狩市)
  • 白銀の滝
  • 雄冬岬
  • 雄冬岬展望台
  • 旧増毛駅
  • 旧増毛小学校校舎
  • 黄金岬(留萌市) - 夕日の名所
  • おびら望洋台キャンプ場(小平町)
  • おびまる広場(小平町)
  • 旧花田屋番屋(小平町)
  • 上平風力発電風車群(苫前町)
  • 暑寒別天売焼尻国定公園(増毛町・羽幌町)
  • はぼろサンセットビーチ(羽幌町)
  • みさき台公園キャンプ場(初山別村)
  • 遠別町富士見が丘公園キャンプ場
  • 遠別町河川公園キャンプ場
  • 遠別町富士見海水浴場/みなくるびーち
  • N45(北緯45度)通過点記念モニュメント(幌延町)
  • オトンルイ風力発電所(幌延町)
  • 利尻礼文サロベツ国立公園

脚注

  1. ^ https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020120200027/file_contents/so110924.PDF 平成11年9月24日 小樽市議会総務常任委員会会議録(11年3定) 総務部主幹答弁 広域観光の充実
  2. ^ https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020120100013/file_contents/ke130625.PDF 平成13年6月25日 小樽市議会経済常任委員会会議録 経済部観光振興室企画宣伝課長答弁 広域観光組織の役割
  3. ^ アイヌ語地名ファンブック 著者本多貢2005年12月25日初版発行238頁「オロロン」、2006年2月25日2版発行 株式会社彩流社発行
  4. ^ 稚内市史編さん委員会編集 稚内市史第二巻909頁 平成11年1月31日稚内市発行
  5. ^ 稚内市史編さん委員会編集 稚内市史第二巻909頁 平成11年1月31日稚内市発行
  6. ^ 『小樽市総合計画「市民と歩む21世紀プラン」基本計画点検報告書』「5)観光 ○実施した主な施策・事業◆広域観光の推進」” (PDF). 小樽市. p. 58 (2007年10月). 2024年10月23日閲覧。
  7. ^ レファレンス事例詳細『質問 歌の歌詞の中に出てくる、「オロロン港」とは、どこの港か?の回答の〇関連情報に☆オロロンの説明、回答プロセス』”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館 (2022年4月7日). 2024年10月23日閲覧。
  8. ^ 『広報りしり富士No.196 平成15年新年号』「利尻富士町名誉町民に前利尻富士町長 安達敏夫氏に」” (PDF). 利尻富士町. p. 7. 2024年10月23日閲覧。
  9. ^ 『波となぎさNo.185 創立50周年記念誌』「北海道留萌市長 海岸への想い」” (PDF). 港湾海岸防災協議会. p. 23 (2010年11月30日). 2024年10月23日閲覧。
  10. ^ https://www.hkd.mlit.go.jp/rm/douro_keikaku/f6h4sv0000000ne5.html 国土交通省北海道開発局留萌開発建設部ホームページ 道路計画課 物語 陸の孤島物語 幻の国道231号「陸の孤島」と言われた雄冬
  11. ^ https://www.hkd.mlit.go.jp/rm/douro_keikaku/f6h4sv0000000ne5.html 国土交通省北海道開発局留萌開発建設部 陸の孤島物語 幻の国道231号
  12. ^ https://thesis.ceri.go.jp/db/files/GR0002100182.pdf 1984年度 雄冬トンネル災害復旧『その1工事』報告 昭和58年度(B-5) 雄冬トンネル災害復旧”その1工事”報告 札幌開発建設部 1.原因調査(1)「構造物の被災状況は雄冬岬トンネル878mの北坑口から37mを残し、浜益側に約61mの区間」
  13. ^ https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/kn/dou_iji/ud49g700000091rs-att/ud49g700000092np.pdf 道路トンネル個別施設計画 令和7年3月 【トンネル】1/5と5/5
  14. ^ https://www.hkd.mlit.go.jp/rm/douro_keikaku/f6h4sv0000000ne5.html 国土交通省北海道開発局留萌開発建設部ホームページ 道路計画課 物語 長い歳月の末、全線開通へ と 道路の安全確保に向けて
  15. ^ 令和6年3月30日 北海道新聞留萌・宗谷版
  16. ^ https://www.horonobe-wp.com/replace.html 幌延風力発電株式会社ホームページ リプレース計画
  17. ^ https://www.horonobe-wp.com/facility.html 施設の概要 風力発電機
  18. ^ https://www.horonobe-wp.com/company.html 幌延風力発電株式会社ホームページ はじめに
  19. ^ https://www.horonobe-wp.com/news0829.html 幌延風力発電株式会社ホームページ 2024.08.29オトンルイ風力発電所 リプレース事業延期について
  20. ^ https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020120200027/file_contents/so110924.PDF 平成11年9月24日 小樽市議会総務常任委員会会議録(11年3定) 総務部主幹答弁 広域観光の充実
  21. ^ https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020120100013/file_contents/ke130625.PDF 平成13年6月25日 小樽市議会経済常任委員会会議録 経済部観光振興室企画宣伝課長答弁 広域観光組織の役割
  22. ^ 『小樽市総合計画「市民と歩む21世紀プラン」基本計画点検報告書』「5)観光 ○実施した主な施策・事業◆広域観光の推進」” (PDF). 小樽市. p. 58 (2007年10月). 2024年10月23日閲覧。
  23. ^ 稚内市史編さん委員会編集 稚内市史第二巻908~909頁 平成11年1月31日稚内市発行
  24. ^ https://www.city.abashiri.hokkaido.jp/soshiki/4/6882.html 網走市公式ホームページ 組織からさがす 企画総務部総務防災課 昭和51年(1976年)~昭和61年(1986年)の足あと 昭和60年 1985年6月21日 オホーツク沿岸15市町村(当時)でオホーツクライン観光開発推進協議会設立総会、会長金田紋別市長
  25. ^ https://ndlsearch.ndl.go.jp/search?cs=bib&display=panel&from=0&size=20&keyword=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B5%B7%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3&f-ht=ndl 国立国会図書館サーチ 日本海オロロンライン
  26. ^ https://www.library.pref.hokkaido.jp/wo/opc/srh_do/ 北海道立図書館 日本図書館内蔵書検索 日本海オロロンライン

参考文献

関連項目





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