日本への再侵入の危険性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 16:10 UTC 版)
犬に限らず狂犬病に感染している動物が、ペットとして世界から日本へ持ち込まれる可能性は常にある。また、狂犬病以外の人獣共通感染症に感染した動物がペットとして日本に輸入される可能性もあり、近年の愛玩動物の輸入増加とともに問題視されている。平成24年度の日本でのイヌの登録数は678万5,959匹、注射頭数は491万4,347匹、狂犬病ワクチン接種率は72.4%であるが、実際には接種が行われていない事例が存在していると報道されている。輸入ペット以外にも貿易コンテナなどによる侵入動物による再上陸の確率は検疫のためきわめて低いものの、今後も検疫体制下の監視において侵入動物による侵入・発生リスク調査は必要となる。 厚生労働省は、輸入動物を原因とする人畜共通感染症の発生を防ぐため、2005年9月1日から「動物の輸入届出制度」を導入した。一方、狂犬病行政の問題としては、日本では犬以外のペット(特に狂犬病ワクチンの適用対象となっている猫)に対する狂犬病などの予防注射が、法律で義務になっていないことが挙げられる。 さらに、平時の野犬や野生動物の狂犬病ウイルス(または抗体)保有状況調査に至っては、ほぼ皆無と言えるほど貧弱なことなども、再侵入監視上の問題として指摘されている[要出典]が、農林水産省、環境省、厚生労働省の3省連携が障壁となっており、改善されていないと述べる識者もいる。 海外の事例として、2003年にボリビアにおいて狂犬病に感染した状態で、ペルーから輸入されたハムスターが人を噛む事故が発生している。2003年に日本に輸入されたハムスターだけでも約50万匹に上っている。狂犬病流行地ロシアとの貿易が多い北海道では、ロシア船から不法上陸した犬の存在が確認されており、危険視されている。 またコウモリから狂犬病ウイルスおよび類縁のリッサウイルスが感染する。コウモリが棲む洞窟内で経気道感染した例もある。なお、国内コウモリ個体の感染率についてはいまだ研究されていないため、今後発生する可能性は皆無ではない。 2022年のウクライナ侵攻では、ウクライナの犬について農林水産省が狂犬病予防法の特例措置を講じて通常の検疫体制を省くと発表、大きな話題となった。
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