日本の足踏み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 04:06 UTC 版)
JasPar(日本のメーカーを主体とした規格団体)が日本のメーカーが希望する新たなFlexRay規格を2009年末にも規格制定する見込みであるが、この制定が手間取っているだけでなく、基幹部品となるマイコン内部に組み込まれるFlexRay通信用IPコア及びトランシーバICの開発も進んでいない。ロバート・ボッシュ (企業) とフリースケール・セミコンダクタは共同でJasPar版FlexRay対応のIPコアを1種類だけ開発すると表明している。日本の半導体メーカー側の積極性が問われそうだが、JasPar版FlexRayの策定を主導している日本の大手自動車メーカーのいずれもがJasPar版FlexRayの実車への搭載に躊躇していることがその原因となっている。 トヨタ自動車ではプリウスにJasPar版FlexRayの採用を検討したようだが、見送った。CANの利用においてはボッシュ社の特許独占問題や今後の機能拡張・性能向上の余地がなく代替技術に移行したいが、日本の自動車メーカーからすればFlexRayはCANに比べるとトランシーバICで2-3倍にコスト上昇が見込まれ、ソフトウェア開発もCANより工数が増え、ハーネスも同等レベルのコストを維持できるか疑問とされ、総体としてはかなりのコスト高が予想されるので簡単にはCANから移行できない。こういった事情は鶏と卵の関係にも似て、実車に採用されないと電子部品の価格は下がらず、電子部品の価格が下がらないと実車に採用できないというジレンマに陥っている。 日本のメーカー側ではJasPar版FlexRayを策定し、その実績を持って車載ソフトウェアの標準化団体であるAUTOSAR内に日本の自動車産業界の立場を確立する構想であったが、日本版FlexRayの先行きすらも危ぶまれる状況になっている。AUTOSARでは自動車用MCUの内蔵ソフトウェアをモジュール化/汎用化することで再利用を容易にする規格を策定中であるが、開発工数削減が期待出来る反面、マイコン(MCU)に要求される能力が高くなるため高価となり、トータルではコスト高となることを危惧して日本側ではモジュール化に反対の立場である。
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