日本の仏法派の家族観
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
明治初期の日本では、かつての開国派かつ佐幕派の旧士族を中心に、キリスト教(新約聖書)の一夫一婦制思想が特殊カトリック的要素を捨象した上で受容され、断行派中の一派にも影響を与えた。 人事編の起草者熊野敏三は男女不平等のフランス社会に対して批判的であり、ボアソナードも、仏民法の妻の行為無能力制に批判的であった。 因襲の久き欧州諸国に於ても未だ夫婦同権の制を立つるに至らず、況んや我国男尊女卑の風俗に於てをや。 — 熊野敏三・岸本辰雄『民法正義』 断行派の岸本も、完全夫婦平等論を説く森有礼の思想的系譜にあったと考えられ(松本)、彼の翻訳したフランスの急進共和主義者エミール・アコラス(アコラース)の著書は、家族制度全廃と男女平等を説く植木枝盛に影響を与えた(民法典論争議会演説でもアコラスの名は登場する)。 ただし女性のみ出産能力があるため、岸本も一定の不平等は認める。 旧民法人事編81条 離婚は左の原因あるに非ざれば之を請求することを得ず第一 姦通但夫の姦通は刑に処せられたる場合に限る 反面、女性の男性に対する性的自由は(妊娠の危険がある分)強力な保護を要するため、日本刑法は強制わいせつ罪と異なり強姦罪の被害者を女性に限定していた。
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