新自由主義に対する勝利論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 18:45 UTC 版)
「コチャバンバ水紛争」の記事における「新自由主義に対する勝利論」の解説
バーミンガム大学、公共政策学部(School of Public Policy)のアンドリュー・ニクソンらは、水紛争が「新自由主義に対する勝利だ」という解釈は誤りだと主張している。アンドリュー・ニクソンらは、「分析によると、今回の水道民営化の計画では、短期的にみても、長期的に見ても最貧困層が利益を得ることができた」と主張している。理由は、「最貧困層は、SEMAPAから水道の供給を受けておらず、民間の水販売業者から高価で不衛生な水を買う状況にあり、SEMAPAの値上げによって水道水を不正に購入して高値で転売していた業者を排除し、設備の更新と水道網の新設で最貧困層へ直接水道を供給できるようになったはずだ」とした。 このように貧困層にとって利益があった計画にも関わらず、反発を受け、水紛争が発生してしまった原因として、アンドリュー・ニクソンらは、以下のような要因をあげている。 民営化による市民が得る利益について理解が進まなかったこと 民間の水道事業者、井戸掘削業者、水道料金の不払い者など既得権益層を短期に排除しようとしたこと 理解の進まないまま、2000年1月に値上げを実施したこと そしてアンドリュー・ニクソンら、このような要因を生み出したのはボリビア政府の「行政システム」に欠陥があったからだと指摘した。具体的には、以下のような点が挙げられるとした。 水道民営化に対してコチャバンバ市民への説明がほとんどなされず、トゥナリ社への売却経緯に透明性が欠けたこと 水道料金の新制度への移行時期が不適切で、移行期の不満を無視して新制度を強行したこと 旧来の水供給の仕組みを理解せず、また新制度に統合する努力を怠ったこと 水道料金の値上げを徐々に導入し、サービス改善と合わせて逐次実施すべきであったが、一度に値上げ実施をしようとしたこと これらの問題解決および住民との間で調停できるような人材育成を怠ったこと
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