新外映配給とは? わかりやすく解説

新外映配給

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 02:40 UTC 版)

新外映配給株式会社
Shingaiei Haikyu Co., Ltd.
種類 株式会社
市場情報 消滅
略称 新外映
本社所在地 日本
東京都港区赤坂青山南町1-2
設立 1952年4月
業種 サービス業
事業内容 映画の輸入・配給
代表者 鈴木崧 1952年
片山武次 1963年
関係する人物 大岡昇平
末松正樹
特記事項:略歴
1952年4月 設立
1963年11月 倒産、富士映画株式会社と改称
1964年 再買収、ヨーロッパ・フィルム株式会社
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新外映配給株式会社(しんがいえいはいきゅう-、Shingaiei Haikyu Co., Ltd., 1952年4月 創立 - 1963年11月 倒産)は、かつて存在した日本の映画会社である。

略歴・概要

前身は、第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)に設立されたフランス映画輸出組合日本事務所(SEF)[1]で、創立時には、のちに小説家となる大岡昇平が文芸部長に就任、字幕翻訳を手がける[2]。1950年(昭和25年)には新外映を名乗り、1951年(昭和26年)にはフランス映画を中心とした輸入業務を開始し、東宝との配給提携によって、ジャン・コクトー監督の『オルフェ』等を日本に紹介し始める[3]。1948年5月に退社した大岡の後任の文芸部長には画家の末松正樹が就任している[2]

独自に輸入配給を始めた東和映画に対抗して配給業務を強化するため、1952年(昭和27年)4月、社名に「配給」を加えて新外映配給株式会社となる[4]。代表取締役社長に鈴木崧、営業部長に鈴木一誠、宣伝部長に池谷公男という体制で始まった[5]ニッポンシネマコーポレーション(NCC)、スターフィルム、泰西映画、映配、ブレイクストンイタリフィルム新東宝英国映画協会(BCFC)と共同配給を多く行なう[3]。のちに映画評論家となる秦早穂子もSEF時代から在籍しており、パリ駐在時には『勝手にしやがれ』や『太陽がいっぱい』などの名作を買い付けた。ほかにもロベール・ブレッソン監督『抵抗』、ジャック・タチ監督主演『ぼくの伯父さん』など、フランス映画輸入の大手だった東和映画が手を出さなかった多くの名作を配給した点でも注目される。

1963年(昭和38年)、経営者が更迭され社長に片山武次が就任したが、同年11月、倒産し、吉岡庄蔵が社長に就任して富士映画株式会社と改称、清算業務を行っていたが、間もなくパールハウス映画代表の渡辺登が買収し、ヨーロッパ・フィルム株式会社となる[1][6]。同社の配給作品に関する記録は、1965年(昭和40年)6月22日に公開したフランツ・ペーター・ウィルト監督の西ドイツ映画『』(ネット)以降は見当たらない[3]

同社は、フランス映画を中心とした作品の本国でのオリジナルポスターを東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈していた(新外映コレクション)が、2010年(平成22年)、同センターが「戦後フランス映画ポスターの世界」として初めて公開した[1]。2009年(平成21年)10月29日には、大岡がSEF時代に手がけたジャン・コクトー監督の『美女と野獣』の日本語字幕の和文タイプ原稿が、上記のポスターとともに寄贈した同社コレクションのなかから発見されたことが報じられた[7]

会社データ

おもなフィルモグラフィ

キネマ旬報映画データベースに見られる配給作品の一覧であり、日本での配給作品のみである[3]。日本公開順。

1950年代

1960年代

ヨーロッパ・フィルム
  • 『裏切り』 Bumerang : 監督アルフレッド・ワイデンマン、主演ハーディ・クリューガー、1959年 西ドイツ製作、1964年6月17日公開
  • 『黒い世界』 Teufel im Fleisch : 監督ヘルマン・ワルブリュック、主演アレクサンダー・ガブリック、1963年 西ドイツ製作、1964年6月17日公開
  • 』(ネット) Menschen im Netz : 監督フランツ・ペーター・ウィルト、主演ハンスイョルグ・フェルミー、1962年 西ドイツ製作、1965年6月22日公開

  1. ^ a b c 戦後フランス映画ポスターの世界東京国立近代美術館フィルムセンター、2010年8月2日閲覧。
  2. ^ a b 京橋フィルムで仏映画戦後ポスター展、銀座新聞ニュース、2010年1月6日付、2010年8月2日閲覧。
  3. ^ a b c d キネマ旬報映画データベース Archived 2012年1月30日, at the Wayback Machine.、2010年8月2日閲覧。
  4. ^ a b 『電通広告年鑑 1956年』、電通、1956年、p.746.
  5. ^ a b 日本映画発達史 IV 史上最高の映画時代』、田中純一郎中公文庫、1976年3月10日 ISBN 4122003156, p.102.
  6. ^ 『日本映画発達史 IV 史上最高の映画時代』、p.462.
  7. ^ 映画「美女と野獣」、大岡昇平の字幕原稿見つかる朝日新聞、2009年10月29日付、2010年8月2日閲覧。

関連項目





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