新型同型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 02:39 UTC 版)
第5図 第65回NHK杯決勝△千田 持駒 角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 飛 桂 香 一 金 王 金 二 桂 歩 歩 銀 歩 三 歩 歩 銀 歩 歩 四 歩 歩 歩 五 歩 歩 歩 銀 歩 歩 歩 六 歩 銀 歩 桂 七 金 金 飛 八 香 桂 玉 香 九 ▲村山 持駒 角38手目△6五歩まで 2010年代後半頃から急速に発展したコンピュータ将棋ソフトの進歩に伴ってプロ・アマを問わず将棋の指し方に大きな変化が見られるようになった。角換わりの戦型もこの流れの例に漏れず、角換わり腰掛け銀の戦型となった2016年2月の第65回NHK杯テレビ将棋トーナメントの決勝の▲村山慈明 - △千田翔太戦にて、後手の千田が採用した△6二金・△8一飛型の駒組みが注目を集めた。図の後手の構えが角換わり腰掛け銀の新型。この指し方は自陣の飛車の横利きと右金の位置のバランスが良くより角の打ち込みに強いとされ、この頃から度々ソフト同士の対局などにおいて出現していた形だったが、形自体は過去にも前例があった。古くは木村義雄十四世名人が指した実戦例もあり、古くて新しい形である。先手の飛車は2八のまま、▲5八金と上がった形は構えが旧型とされていく。後手はバランスの良さが特徴で、角の打ち込みを消している。ただし玉が薄いのが弱点である。一方の先手は飛車の横利きもあって玉が堅い。 この一局を境に角換わり腰掛け銀の後手番ではこの△6二金・△8一飛型が主流となり、やがては先手番も同じく▲4八金・▲2九飛型に組むという、新型の先後同型がこれまでの▲5八金・▲2八飛型に変わって主流の座に位置するようになった。千田はこの駒組みの先駆者として、第44回将棋大賞の升田幸三賞を受賞した。 近年ではこの戦型における研究が非常に深い部分まで達しており、特にタイトル戦などでは両者持ち時間をほとんど使うことなく終盤まで局面が進むことも、珍しくなくなってきている。角換わり腰掛け銀は2010年代以降で定跡が根本から塗り替えられたのである。 図では△6五歩▲同歩△同桂が仕掛けの一例。▲6六銀にじっと6四歩と桂取りを受けておく。仮に先手が▲8八玉なら△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛と1歩交換し、じっくりと指す構想である。新型の構えが優秀なところは桂を跳ねたあとにもスキができないところ。これが8二飛+5二金(2八飛+5八金)の形であると▲7三角(△3七角)の打ち込みが生じてしまう。 これにより、緩急を付ける攻めができるようになった。
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