文学・演劇におけるバーレスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 02:34 UTC 版)
「アメリカン・バーレスク」の記事における「文学・演劇におけるバーレスク」の解説
詳細は「バーレスク」を参照 「バーレスク」("burlesque")という言葉は、より一般的な意味では真面目な作品の様式や精神を諷刺したり、そうした作品でとりあげられるような主題をばかばかしく扱ったりすることで笑いをとろうとする文学、演劇、音楽の作品を指して使われる。19世紀を通して、文学や演劇におけるバーレスクは特定の作家や芸術家を突拍子もない描き方でごたまぜに組み合わせて模倣したり、いろいろなスタイルを真似したりすることにより、意図的に滑稽な作品を作るというものであった。バーレスクが狙った効果をあげるためには、読者や聞き手が取り上げられる主題を知っている必要があり、高いレベルの知識が当然の前提とされていた。 ヴィクトリア朝のバーレスクは時として「トラヴェスティ」や「エクストラバガンザ」などと呼ばれることもあり、1830年代から1890年代にかけてロンドンの劇場で人気を博した。この頃のバーレスクはパロディ音楽劇であり、よく知られているオペラ、戯曲、バレエなどが露骨で喜劇的な演目に翻案される。だいたいは音楽劇できわどいスタイルのものであり、原作の演劇的・音楽的な伝統や様式を嘲笑し、原典のテクストや音楽を引用したり、パスティーシュ風に模倣したりしていた。リアルで歴史的な衣類やセットが役者が行う現代的な行動と並置されることで、古典的主題の場違いさやばかばかしさが浮かび上がり、そこから喜劇としての笑いが生まれるというような演目がしばしば上演された。会話は一般的に押韻二行連句で書かれ、へたくそなシャレがたっぷりちりばめられていた。典型例としてウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』のバーレスク作品に出てくるシャレがあげられる。マクベスとバンクォーが傘を差しているところに魔女たちが「万歳!万歳!万歳!」("Hail! hail! hail!") と挨拶し、マクベスがバンクォーに「あの挨拶はどういう意味かな、高貴な領主よ?」とたずねると、「"Hail"(万歳と雹、2つの意味がある)が降ったらあなたの"reign"(「統治」を意味するが、「雨」を指す"rain"と同じ発音)がくるってことですよ」と言われる。劇場で上演されるバーレスク演目の定番はズボン役で登場する魅力的な女性であり、タイツをはいて足を見せるところまではするものの、演目自体は多少きわどいという程度のもので、そこまで過激になることはあまりなかった。
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