数量不足または物の一部滅失の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 22:59 UTC 版)
「担保責任」の記事における「数量不足または物の一部滅失の場合」の解説
旧565条は数量を指示した売買等の有償契約において、物の数に不足がある場合や一部が滅失しているため、給付義務者(売主)がその部分の権利を相手方(買主)に移転できない場合の担保責任について定めていた。判例には本条は特定物売買にのみ適用があるとするものがある(大判明36・12・9民録9輯1363頁)。 代金減額請求権 相手方(買主)は不足分について代金の減額を請求できる(旧565条・563条1項準用) 契約解除権 相手方(買主)は残りの部分だけでは不要な場合には契約の解除ができる(旧565条・563条2項準用)。 損害賠償請求権 相手方(買主)は、権利の一部が他人の権利であることを知らなかった場合のみ、損害賠償を請求できる(旧565条・563条3項準用)。損害賠償の範囲は信頼利益の範囲であり、履行利益に及ばないとされていた(最判昭57・1・21民集36巻1号71頁)。 期間制限 買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならないとされていた(旧565条・564条準用)。数量不足の場合、ここでいう「事実を知った時」とは数量が不足であることを知った時を指し、数量の不足は知っていたが売主が誰か知りえなかったときには売主を知った時を指した。この期間の性質について議論があることは旧563条の場合と同じである。 商法の特則 商人間の売買において、買主はその売買の目的物を受領したときは、遅滞なくその物を検査しなければならず、検査を怠った場合や、あるいは検査により数量不足を発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知をしなければ、数量不足を理由とした担保責任の追及はできない(商法526条)。
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