数学的起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:23 UTC 版)
「チャーン・サイモンズ理論」の記事における「数学的起源」の解説
1940年代に陳省身とアンドレ・ヴェイユは滑らかな多様体 M の大域的な曲がり方の性質をド・ラームコホモロジーとして表すことを研究した(チャーン・ヴェイユ理論)。この理論は微分幾何学の特性類の重要なステップである。M 上の平坦主 G-束 P が与えられると、チャーン・ヴェイユ準同型と呼ばれる準同型が一意的に存在する。その準同型は、g(G のリー代数)上の G-随伴不変多項式の代数からド・ラームコホモロジー H ∗ ( M , R ) {\displaystyle H^{*}(M,\mathbb {R} )} への準同型である。もし不変多項式が斉次多項式であれば、任意の閉形式 ω の k 形式は ω の随伴曲率形式 Ω の 2k 形式として具体的に書くことができる。 1974年、チャーンとジェームズ・シモンズは、次を満たす 2k − 1 形式 df(ω) を具体的に構成した。 d T f ( ω ) = f ( Ω k ) {\displaystyle dTf(\omega )=f(\Omega ^{k})} . ここに T はチャーン・ヴェイユ準同型である。この微分形式をチャーン・サイモンズ形式という。もし df(ω) が閉形式であれば、M 上の 2k−1 次元サイクル C に沿って、上の式を積分することができる。 T f ( ω ) = ∫ C f ( Ω k ) {\displaystyle Tf(\omega )=\int _{C}f(\Omega ^{k})} . この不変量をチャーン・サイモンズ不変量という。チャーンとサイモンズの論文のイントロダクションに指摘されているように、チャーン・サイモンズ不変量 CS(M) は、純粋な組み合わせ的な定式化では決定できない境界項である。この不変量はまた、第一ポントリャーギン数 p 1 {\displaystyle p_{1}} と正規直交バンドル P の切断である s(M) により C S ( M ) = ∫ s ( M ) 1 2 T p 1 ∈ R / Z {\displaystyle CS(M)=\int _{s(M)}{\frac {1}{2}}Tp_{1}\in \mathbb {R} /\mathbb {Z} } と表される。さらに、チャーン・サイモンズ項は、アティヤ、パトーディ、シンガーの定義したエータ不変量としても表される。 ゲージ不変性と計量不変性は、チャーン・ヴェイユ理論の随伴リー群の作用の下での不変性と見ることができる。物理学の場の理論の作用積分(経路積分)は、チャーン・サイモンズ形式のラグランジアンとみなせる。またウィルソンループは M 上のベクトルバンドルのホロノミーとみなせる。これらは、何故、チャーン・サイモンズ理論が密接に位相場理論に関係しているかを説明する。
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