撚糸工連元課長の使い込み発覚
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「撚糸工連事件」の記事における「撚糸工連元課長の使い込み発覚」の解説
1985年、日本撚糸工業組合連合会で17億円(20億円とも)にものぼる使途不明金が発覚した。これが一連の撚糸工連事件の発端である。同組合は、同年8月5日付で懲戒免職処分となっていた同組合経理・業務課長を9月11日東京地検特捜部に有印私文書偽造などで告訴し、12月3日、元課長は業務上横領などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された。逮捕の原因となったのは、株の信用取引に必要な委託保証金や、自身が在職中に設立し経営していたプロダクション「トム・トム・エンタープライズ」の経営資金とするために、1984年1月から4月の間に、6回にわたり利付商工債券1000万円券27枚、計2億7000万円を横領し、組合に無断で証券会社に預けた疑い。その他、同工連の告訴によれば10数億円の被害があったとされる。 撚糸工連が元課長を特捜部に告発した後、同課長は友人ら2名に「真相を聞いてほしい」と連絡をし東京都港区の事務所で2日間にわたり自分の犯行の一部始終を語った約4時間のテープを残している。テープは9月中旬に録音したとされ、逮捕翌日の12月4日にその存在が明らかとなった。 同テープによると、 元課長が不正な使い込みを始めたのは1978年頃。同工連預託の証券を売却したり、同組合預金を払い戻す際、白紙の預金払戻書に理事長印をもらい、必要額より多い額を記載しその差額を横領した。 横領は中断していたものの、1982年から1983年にかけ同工連の資金に余裕が出てくると再び横領を開始。トム・トム・エンタープライズの資金繰りに行き詰ったことなどを受け、理事長に無断で手形に理事長印を押すなどして同組合の預金を不正に引き出すようになった。この横領は多数回にものぼり、12億円も不正に引き出していた。損失を穴埋めするため他人名義で株取引をしようと目論んだが、とうとう損失の穴埋めもままならなくなり1985年7月に横領が明るみに出た。不正に引き出していた金は、株式投資、競馬、上記プロダクションの経営資金、映画の制作資金に充てていた。 その後、横領した資金で、競馬で金に困っていた神奈川県内の食品会社社長である知人に数回にわたり4500万円余の貸付をしたり、都内の不動産会社社長に名刺の裏書程度の借用書で4回にわたり計1億8500万円の貸付を行っていたことも明らかになった。しかし、同テープによる証言と実際の使途不明金との間には乖離が大きく、元課長が他に横領した事実の有無、他にも横領に加担していた、あるいは独立して横領をしていた者の存在が捜査の焦点となった。撚糸工連元課長は逮捕の直前、上記友人に対し「(上層部から)多額の口封じ金をもらった」との証言もしている。
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