描かれている主題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 00:07 UTC 版)
「ラファエロのカルトン」の記事における「描かれている主題」の解説
『ラファエロのカルトン』に描かれている主題は、聖ペテロと聖パウロの生涯におけるエピソードである。これらが主題として選ばれたことについては、当時巻き起ころうとしていたローマ・カトリックへの宗教改革と関連があると捉えることも可能ではあるが、たんに初代ローマ教皇たるペテロに捧げられたものと見るべきである。ペテロやパウロの生涯をモチーフとした芸術作品は少数ながらも前例があり、ラファエロもそれまで自身でよく描いていた、キリストや聖母マリアの生涯のような旧来からの象徴主義に縛られる主題よりも、より自由に表現できる主題を選んだものと考えられる。ラファエロはカルトンに描き出すエピソードを自身で選び出し、誰の指図も受けなかった。「聖ペテロの生涯」は、システィーナ礼拝堂壁面中層のペルジーノらによる「キリストの生涯」を描いたフレスコ画の下に飾るためにデザインされており、「聖パウロの生涯」は反対側の壁面中層の「モーセの生涯」を描いたフレスコ画の下に飾るためにデザインされている。また、タペストリとタペストリの隙間には、カルトンの依頼主であるローマ教皇レオ10世の生涯をモチーフとした事物も表現されており、それぞれのタペストリに描かれたエピソードを保管する役割を果たしている。レオ10世の生涯は主祭壇のある壁から始まり、右側の「聖ペテロの生涯」ならびに左側の「聖パウロの生涯」へと続く一連の物語となっている。システィーナ礼拝堂のタペストリは10点存在するが、そのうち3点についてはカルトンが現存していない。 現在ヴァチカン美術館のピナコテーカ(絵画館)が所蔵し、特別な儀典の際にシスティーナ礼拝堂に飾られるタペストリは以下の通り。 「聖ペテロの生涯」 『奇跡の漁り』 - 『ヨハネによる福音書』21:1-14 『ペテロに天国の鍵を授けるキリスト』 - 『マタイによる福音書』16:16-19 『不具の男の快癒』 - 『使徒行伝』3:1-8 『アナニアの懲罰』 - 『使徒行伝』5:1-10 「聖パウロの生涯」 『聖ステファノの石打ち』 - カルトンが現存せず 『パウロの回心』 - カルトンが現存せず 『エリマスの失明』 - 『使徒行伝』13:6-12 『ルステラの犠牲』 - 『使徒行伝』14:8 『牢獄の聖パウロ』 - カルトンが現存せず 『アテネでのパウロの説教』 - 『使徒行伝』17:16-34
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