振動の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 08:24 UTC 版)
振動(地震波)の性質によって、地上の揺れのパターンには一定の法則が生まれる。 震源で発生した地震動(地震波)は、有限の速度をもって周囲に伝わる。その速さはおよそ3〜7km/sで、音波の10〜20倍も速いが、光速度と比べれば5万〜10万分の1にとどまるため、地震が発生してから周囲の地表が揺れるまでには時間がかかり、その時間は震源から遠くなるほど長くなる。この時間差を利用したシステムが地震警報システムである。 地震動のうち、周期が短く伝播速度が7km/s前後と早いP波は、最初に到達してカタカタという小さな揺れをもたらし、初期微動と呼ばれている。揺れが小さいのは周期が非常に短く減衰が大きいためであり、震源に近いところではあまり減衰していないP波によって地鳴りのような音が発生する。 周期が比較的長くP波の半分ほどの速度で伝播するS波は、初期微動の後に到達してガタガタという激しい揺れをもたらし、主要動と呼ばれている。地震によってS波の周期は異なり、卓越する地震動の周期(最も振幅が大きい地震動の周期)も変わるため、被害の様子も変わってくる。また、さまざまな周期を持ち周期によって速度が異なる表面波は、被害を起こすような周期の振動がS波よりもやや遅れて到達する。表面波は減衰が少ないので遠くまで到達し、ユラユラという揺れを、震源から数千km離れた地点でも発生させる(特に高層建築物内で揺れやすい)。表面波と、S波到達後に続くP波も主要動に含まれる。 P波とS波の最初の到達時間の差を初期微動継続時間といい、複数の離れた地点の地震計で得られた初期微動継続時間から、震源の位置を推定する。地震動(地震波)の伝播速度は地盤によって変わるため、実用的には、地質調査によりあらかじめまとめておいた地震波の伝播速度のデータを、観測データと比較しながら計算を繰り返し、詳細な震源の位置を決定する。
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