抗レトロウイルス薬の含有について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/18 05:55 UTC 版)
「ニャオペ」の記事における「抗レトロウイルス薬の含有について」の解説
ニャオペは、原料のひとつにHIV治療のために処方された抗レトロウイルス薬を含んでいることで知られている しかし、「ニャオペに抗レトロウイルス薬が含まれている」というのは単なる都市伝説にすぎないという異議も唱えられている。 1つの主張として、ニャオペには大麻 、メタンフェタミン 、ヘロインなどの古典的な向精神薬が含まれており、これらはHIVの治療に使用されるリトナビルや抗レトロウイルス薬との相互作用によって効果が強化される。リトナビルは、MDMAなどの一部のストリートドラッグの効果を強化、または効果時間を延長すると考えられている 。 別の主張では、ニャオペには向精神性の副作用を持つ別の抗レトロウイルス薬であるエファビレンツが単独または上記の成分と一緒に含まれているというものがある。デビッド・グレロッティ博士(Dr. David Grelotti)は、エファビレンツには「特に鮮やかでカラフルな夢やその他の中枢神経系への影響を引き起こすよく知られた傾向がある。それは大麻、メタンフェタミン、ヘロイン、その他の違法薬物の影響を高める可能性があるかもしれない」と述べている。 AIDSの専門家は、抗レトロウイルス薬の成分がニャオペの高揚効果を増強する可能性は低く、使用者が自己暗示している可能性があると指摘している。 ニャオペのサンプルの実験室レベルの分析結果では、その組成に抗レトロウイルス薬は含まれておらず、分析を担当した医学者は、抗レトロウイルス薬は含まれていないと結論付けた。 南アフリカ警察と薬物リハビリセンターの専門家は、ニャオペは昔ながらのヘロインベースの混合薬物の単なるブランド変更だと語っている。 南アフリカ警察組織犯罪課は、「麻薬の売人たちは、販売するドラッグの量を増やし、ヘロインの売り上げを上げるために、ヘロインをあらゆる物でかさ増しする。添加されたものの多くは効果がなく、ドラッグユーザーは何が入れられているのか何も知らない」と語る。 ニャオペを作るために使用されるとされる抗レトロウイルス薬は、政府の治療プロジェクトでHIV患者に配布されているものの一部である。抗レトロウイルス薬の主な供給源はHIV患者から強盗によって搾取したもので、報道によれば、患者が診療所を出て薬局で処方薬を入手する際に強盗にあっている。また別の報告によれば、一部の患者は処方されたHIV薬を転売しており、一部の腐敗した医療従事者が抗レトロウイルス薬を不法に麻薬市場に流している可能性もある。 ハーバード大学公衆衛生学部の研究者は、ニャオペを吸うHIV患者が抗レトロウイルス薬に耐性を持つ変異したHIVウイルスの感染を拡大させる可能性への懸念を表明している。薬剤耐性を持つHIVウイルスは、HIV薬であるエファビレンツとリトナビルを娯楽目的で使用することにより増加しており、ニャオペ使用者だけでなく非使用者に対しても抗ウイルス薬の効果がなくなっている。ある研究によると、ニャオペが使用されている地域のHIV患者の3%から5%が、HIVの治療に使いられる抗レトロウイルス薬に対して「治療前の耐性 (pre-treatment resistance)」を示していた。
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