戦術と損害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 13:43 UTC 版)
「ポークチョップヒルの戦い」の記事における「戦術と損害」の解説
中国軍、米軍とも、丘への突撃の際は最初は新月の暗闇を利用した。また、両軍とも防御側を陣地内に釘付けににし前進する攻撃側への視界を遮る目的で入念な事前砲撃を行った。中国軍側は素早く移動することで、防御側の陣地に肉薄し、奇襲攻撃の効果を高めた。この攻撃に対し米軍側は“草刈り射撃”(小火器の射撃を30センチから60センチの一定の高さで固定し斉射する方法)で少ない火力を補い、丘の斜面に対して巧みに連携した支援砲撃を行った。両軍とも、戦車や装甲兵員輸送車(APC)による攻撃支援は行われなかった。戦闘の主体が防御陣地に達すると、両軍とも相手を撃退するために、手榴弾や爆薬、場合によっては火炎放射器が使用され、その結果として攻撃側に夥しい数の死傷者が生じた。 国連軍にとって、戦闘全期間を通じて密かに陣地内に侵入してくる中国兵は悩みの種で、兵士同士での白兵戦が随所で発生した。 砲撃が常に実施されている環境下で、負傷兵の搬送は困難を極めた。第7師団では、M39多目的装甲車を大量に投入し、負傷兵の保護や、水、食料、弾薬の輸送に利用したが、そのうち1輛が戦闘で破壊された。国連軍側では、事前調整砲撃が常に待機状態で準備され、前線からの要請があれば直ぐに、丘の陣地を取り囲むように馬蹄型に、弾幕砲撃を行えるようになっていたため、いかなる方向からの中国軍の攻撃にも打撃を与えられた。 米軍は、戦死者が総計104名で、このうち第31歩兵連隊が63名、この連隊の無傷の生還者は7名だけだった。第17歩兵連隊は戦死31名、それ以外にも工兵隊や砲兵部隊の前進観測員に10名の戦死者がいた。負傷者の数は373名だった。中国軍側の正確な死傷者数は不明である。 1959年の映画『勝利無き戦い』は、この戦闘のS.L.A.マーシャル准将の証言を元に、戦闘をセミフィクションとして描いている。クレモンス中尉をグレゴリー・ペックが演じ、ラッセル中尉をリップ・トーンが演じている。
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