戦術と戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 21:02 UTC 版)
戦略と戦術を明確に区分分けする事は出来ないが、概念上は区分されるべきものである。戦略は戦役全体での勝利を収める為に指導する術策であり、戦術は戦場において実際に敵に勝利するために戦闘部隊を指揮統制する術策である。つまり戦略は大局的な観点から目標設定の整合性や他方面の状況などを調整した巨視的な術策であって、戦略上の都合によって採りうる戦術に制約が生じることはありうる。 戦略と戦術の類似点をいくつか挙げることは出来る。両者ともに目標達成の手段という共通の性質を持ち、また戦略・戦術は共に一般的な理論であると同時に特殊的な術である。初心者はしばしば戦略を理論、戦術を実践として誤解するが、双方とも理論と術を併せ持っている。加えて情勢判断に基づいた戦力準備・戦力運用・教育訓練が三位一体となって目標達成を追求するという基本的な枠組みも類似している。 戦略と戦術の異なる点も挙げることが出来る。それは戦略と戦術が上下関係に属していることと関係して、考慮すべき問題の大小、配慮すべき時間の長短、視野の広狭などが決定的に異なっている点である。また戦略家・戦術家の思考様式の差異であり、戦術家としての役割を担う下級指揮官は一定の条件下で与えられた任務を達成するために判断すればよいが、戦略を担う高級指揮官は下級指揮官に任務を与える場合に必要な戦力を与えなければならず、また常に全体的な状況を把握して指導することが重要である。 また戦略・戦術の概念は近代以降に精緻化が進み、戦略は国家戦略、軍事戦略、作戦戦略に構造化されている(戦略を参照)。また作戦的な性格と戦闘的な性格から戦術を作戦術と戦術に区分する場合もある。
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