戦略・戦術的な遅刻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 04:50 UTC 版)
ロシアの大統領のウラジーミル・プーチンは首脳会談などで毎回遅刻することで有名である。 2016年ころにドイツの調査会社がイギリスのインデペンデント紙の依頼でまとめた「ウラジミール・プーチンの会談の遅れぶり概算表」によると、最も長くプーチンに待たされた首脳はドイツのメルケル首相で、2014年に4時間15分の遅刻を記録。2位は僅差で、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領の4時間。3位は同率が3人おり、安倍晋三首相(当時)、ユーリヤ・ティモシェンコ元ウクライナ首相、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領それぞれ3時間(2016年)だった。安倍首相は、2018年も2時間半待たされたことにより、その時点で累計記録でトップに立った可能性もあった。 ウラジーミル・プーチンがなぜ遅刻をするかと言うと、要人をあえて待たせることにより、自身の権威を高める「政治的なパワープレイ」だという指摘も多い。(つまり、平然と遅刻する側のほうが地位や権力が上であり、待たされる側のほうが地位や権力が下だ、と相手や周囲に見せつける行為だ、というのである。)米国大統領のドナルド・トランプも時刻を守らないことで知られていたが、ヘルシンキでの首脳会談では、プーチンのほうがそのトランプ氏に待ちぼうけを食らわせたことで、プーチン氏はアメリカ大統領を「上回った」とビジネス・インサイダー誌は表現したといい、遅刻するということは、相手に対するいわゆる「マウンティング行為」なのだという。Newsweek誌もプーチンが遅刻するのは意図的な行為であり、常套手段であり、それにより会談を出だしから有利に進めることができると判断しているという。 北朝鮮の指導者は(金正日も金正恩も)、友好国の中国へと専用列車で移動する時に、予定よりもわざと遅れて動いたり、逆に予定よりも早く動くということを繰り返し、事前に公表した予定どおりに動くことは意図的に避けている。専用列車のガラスは防弾ガラス仕様になっており暗殺されることを防止しているが、一説によると、わざと気まぐれに遅刻したり早く動くことで、線路ごと爆破されて暗殺されることを防いでいるのだという。中国のメディアは2004年のリョンチョン駅列車爆発事件(専用列車が通過した後に起きた、地面に大きな穴があくほどの大爆発)も金正日の暗殺を狙った事件だと言う。息子の金正恩に対しても、正恩を憎む北朝鮮国内の人物によって、専用列車を爆破する暗殺計画が練られたが、未遂に終わったのだという。
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