戦場での効果と実際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 16:09 UTC 版)
ジュネーヴ条約などにより、標章を掲げた施設やスタッフは攻撃を受けないこととなっているが、戦場では必ずしも守られるとは限らない。 アメリカ軍により、第二次世界大戦時には、病院船のぶゑのすあいれす丸の撃沈事件や、大山口列車空襲のような機銃掃射事件も発生した。また、橘丸事件のように、違法に軍事輸送に加担し、拿捕された例もある。 1945年8月22日、当時日本領だった南樺太(現在の日本の世界地図では帰属未定地)の豊原駅(現・ユジノサハリンスク駅)は、赤十字旗を掲げていたがソビエト連邦軍の爆撃を受け、その後同軍に占領された。既に、その時点で停戦協定は成立していた。 アフガニスタンでは赤十字旗のある救援拠点が米国軍により攻撃され、2006年に発生したイスラエル軍のレバノン侵攻におけるレバノン政党ヒズボラとの戦闘の際には、レバノンの赤十字スタッフが執拗な攻撃を受けている。また、2008年から2009年にかけては、ガザ地区で11台以上の救急車がイスラエル軍の攻撃により破壊され多くの医療スタッフが犠牲となっている。 2003年10月27日、イラクのバグダード市内に存在した国際赤十字事務所が「自爆テロ」の犠牲となった。非正規の軍事組織は、捕虜などの扱いでジュネーブ条約の庇護を受けないこともあり、赤十字の組織の有効性に一石が投じられる事件となった。 シリア内戦により市街地戦の舞台となったホムス旧市街地では、2012年以降、孤立した住民に対して赤新月社による救援物資の輸送ができないほど治安が悪化した。2年後の2014年2月、政府軍と反政府軍との間で結ばれた限定的な停戦状態の下、赤新月社の救援物資輸送が行われたが、輸送中のトラックの一部が銃撃を受け、スタッフが負傷する事件も発生した。 2018年8月14日、アフガニスタンで活動するターリバーンは、赤十字国際委員会への不満を理由に安全保障の取り決めを破棄すると表明。赤十字国際委員会への攻撃も辞さない方針を表明した。 2022年3月30日に国際赤十字委員会がウクライナ南部マリウポリで、赤十字の施設がロシア軍による攻撃を受けたと発表した。
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