成長と化学組成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 09:28 UTC 版)
マンガン団塊の成長は地質学的な現象の中でも遅いものの一つで、放射性同位体元素の分析によれば1cm成長するために数百万年単位の時間を要する。凝結する金属の由来には様々なものが知られている。陸地から流入するなどして海水に含有された金属が沈殿した (海洋起源 hydrogenous)もの、海水中のマンガンの垂直移動に伴うもの(diagenetic 二次的生成)、火山活動に伴う温泉水から派生した金属によるもの(熱水起源 hydrothermal)、玄武岩デブリの分解によるもの(halmyrolitic)、微生物の活動による(水)酸化物の沈殿によるもの(生物起源 biogenic)がある。 海水からの化学的沈殿には、マンガン団塊に含まれる酸化鉄が触媒として働いていると考えられている。生物起源には有孔虫の底生群集によるものと、バクテリアによるMn2+の酸化が考えられている。複数の過程が並行的に作用することもあるし、ある過程の後に別の過程を受けてマンガン団塊が成長することもある。 マンガン団塊中のMnO2は主に轟石、バーネス鉱、ベルナド鉱(δ MnO2)として存在している。轟石は2価のマンガンを含んでおり、これがZn2+,Ni2+,Co2+に置換することでこれらの金属を含むことができると考えられている。δ-MnO2はもっとも結晶化されていないものであるが、この中にはCoを多く含むものも存在する。 マンガン団塊の化学組成は、マンガン鉱物の種類や大きさ、コアの種類によって変化する。経済的観点から価値がある種類について言えば、マンガン(27%-30%)、ニッケル(1.25-1.5%)、銅(1-1.4%)、コバルト(0.2-0.25%)を含む。また、別の種類のマンガン団塊は鉄(6%)、ケイ素(5%)、アルミニウム(3%)とそれより少ない量のカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、チタン、バリウムを主に水酸化物として含む。
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