御朱印状とは? わかりやすく解説

朱印状

(御朱印状 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/14 04:22 UTC 版)

織田信長朱印状/兵庫県立歴史博物館
織田信長朱印状/今井郷惣中宛赦免
徳川家康朱印状/オランダ国立公文書館蔵

朱印状(しゅいんじょう)とは、日本において(花押の代わりに)朱印が押された公的文書(印判状)のことである。

主に戦国時代から江戸時代にかけて戦国大名藩主将軍により発給された。

特に、江戸時代において将軍が公家武家寺社所領を確定させる際に発給したものは、領地朱印状とも呼ばれる。

概要

武家文書である朱印状の初見は今川氏親が発給した「永正九年三月二十四日今川氏親棟別役免除朱印状」とされている[1]。この最古の朱印状は永正9年(1512年)に氏親が西光寺の棟別銭を免除するために発給した文書である。以後、印判状は北条氏武田氏上杉氏長尾氏里見氏伊達氏など東国の有力戦国大名の間で用いられ、さらに織田信長豊臣秀吉徳川家康も朱印状を用いた[1]

印判状は民政・軍事両面で多くの公文書発給に迫られた大名領国制の元で花押署記の手間を省く手段として用いられた。朱印・黒印の2種の種別は各大名家によって異なっていたが、使用に区分を設けたかどうかは判明していない。織田信長も公文書に黒印・朱印を用いたが、外交文書などの重要な文書には「天下布武」の4字が入った朱印状を用いたが、黒印状による例もあった。続く豊臣秀吉は朱印のみを用いた。徳川家康は更に楕円形の朱印と四角形の朱印の使い分けを行った。海外貿易を許可する際には後者を押した朱印状を授けたことから、この朱印状を受けて貿易を行った船を朱印船と呼び、後に「朱印船貿易」の呼称が発生する。

江戸時代には特に将軍家や諸大名が武士に対して知行充行や知行安堵をした証し、または寺社に対して土地寄進をするときの文書として利用された[1]

家康以来、10万石もしくは四位以上の大名・摂関家及び清華家大臣家従一位公家に対する知行安堵は花押を署記した判物、10万石以下の武士の知行安堵や寺社領の寄進・安堵は朱印状、将軍の私的な書状や軽微な事項では黒印状によって発給された。ただし、初期の頃は例外的な発給も多くあった。後に旗本には朱印状の交付はされなくなり、小規模寺社に対する寄進などには黒印状が用いられるなどの変遷もあり、一定の格式が定まるのは、徳川家綱の時代とされている。

なお、藩主においても朱印状と黒印状の使い分けが行われていた事例があり[2]、朱印状を発給できたのは将軍や大御所のみとするのは正しくない。[要出典]

出典

  1. ^ a b c KOREMITE-東北学院大学博物館収蔵資料図録-Vol.1”. 東北学院大学博物館. 2021年4月1日閲覧。
  2. ^ たとえば伊達家は自領内の領地安堵に「朱印」を用いたお墨付きを発給している。伊達綱村領地朱印状[1]伊達吉村領地朱印状[2]伊達吉村領地朱印状[3]。東北学院大学博物館所蔵[4]

参考文献

関連項目


御朱印状

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 05:07 UTC 版)

龍蔵寺 (加須市)」の記事における「御朱印状」の解説

江戸幕府将軍より税の免除去れ土地与えられたことを証明する文書朱印状は、徳川家光から家茂まで九条が残る。加須市指定文化財有形文化財 古文書

※この「御朱印状」の解説は、「龍蔵寺 (加須市)」の解説の一部です。
「御朱印状」を含む「龍蔵寺 (加須市)」の記事については、「龍蔵寺 (加須市)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「御朱印状」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「御朱印状」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「御朱印状」の関連用語

御朱印状のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



御朱印状のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの朱印状 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの龍蔵寺 (加須市) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS