得点取消
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:29 UTC 版)
「1982 FIFAワールドカップ」の記事における「得点取消」の解説
この大会では、「一度は認定された得点の取り消し」という事態が起きた。 6月21日に行われた1次リーグ・グループ4のフランス対クウェート戦、3対1でフランス優勢の状況にあった後半40分の出来事である。フランス選手アラン・ジレスの放ったシュートがクウェートのゴールネットを揺らし、ストパール主審が一旦はゴールを宣言した。しかし、クウェート側から「プラティニのパス直後のタイミングでスタンドから笛の音が聞こえ、それをオフサイドと勘違いしてプレーを止めた」という抗議がなされた。観戦中だったクウェートのファハド王子(当時)がメインスタンドから選手達にピッチからの引き上げを命ずるようなジェスチャーを送った。審判団と大会役員が選手の説得に試みるが収集がつかず、さらに王子がピッチに乱入し何事かを審判に告げたところ、「不測の事態が起こった」という理由によって、フランスの得点は取り消され、3対1のままでの試合再開となったのである。結局、試合そのものはフランスがその後に1点追加して4対1で大勝しており、この不可解な判定が試合結果やグループ4の最終順位に直接の影響を及ぼすことは無く、事なきを得たものの、試合・審判の公正を揺るがす出来事としてサッカー史に残ることになった。 当然ながらこの一件は問題視され、後日、ウクライナ人のストパール主審が一時資格停止処分を受け、ファハド王子は警告処分を受け、クウェートサッカー協会に対しては25,000スイスフランの罰金が科された。なお、後にこの問題の当事者であるファハド王子もクウェート侵攻の際にイラク軍によって射殺されており、当時ファハド王子が何を語ったのかは現在に至るまで明らかにされていないが、21世紀に至ってハンドボールなど多くのスポーツで問題視される事になった、中東産油国の莫大なオイルマネーが競技を統括する国際団体に流入することで発生する、国際スポーツにおける競技の公正確保・審判の権威維持にまつわる諸問題、いわゆる「中東の笛」にも繋がる問題の一つとされる。
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