従来の査読と出版後査読の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/22 15:44 UTC 版)
「出版後査読」の記事における「従来の査読と出版後査読の違い」の解説
従来の論文出版では、投稿原稿を研究者仲間が査読し、採択・受理 (accept) 後に出版していたが、出版後査読は、出版前ではなく出版後に査読・評価・議論する。また、出版された論文の輪講(ジャーナルクラブ、journal club)レベルの議論を不特定多数を相手にウェブでするという面もある。査読・評価・議論は匿名・ハンドルネーム・実名のいずれかで書き、論文の著者自身は実名で応対する。 従来の査読と出版後査読(掲載後査読)の違いをスネハ・クルカルニ(Sneha Kulkarni)が次のように説明している。 掲載前の査読と掲載後の査読の違いは何でしょうか? いくつか重要な側面があります。妥当性: 掲載前の査読では、研究を選抜するのは2、3名の研究者です。ですから、研究の信頼性について疑問を抱かせるような個々の細部に気づく可能性は小さいのです。掲載後の査読では、科学コミュニティ全体がその研究を審査することが可能です。 透明性: 概して秘密主義で、選ばれた数の査読者だけが関わっている伝統的な査読と異なり、掲載後の査読は、掲載された研究の正しさを実証したいと思っている人すべてに開かれています。さらに、直接的に、仲間の研究者が自由に自分たちの見解を発表することができるだけでなく、間接的に、掲載したジャーナルに手紙を書く、著者へ自分からコンタクトを取る、批評を自由だが匿名で投稿することもできます。 コミュニケーション: 伝統的な査読は、エディター、査読者、著者の間のやり取りでした。一方、掲載後の査読は、その分野あるいはコミュニティ全体の専門家間のコミュニケーションになります。この場合、専門家の意見は、注意と議論を引きつけるのに十分な説得力がなければなりません。これに対し掲載前の評価は、査読者の判断が強制力を持つにもかかわらず、それに依存しているのです。 — スネハ・クルカルニ、掲載後の査読---まだ講じられていない手段
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